2020年02月14日 公開
二つ目は、「InCircle」。2015年にスタートした、法人向けビジネスチャットサービスです。主に社内のやり取りを想定しています。
特長は、スマホやパソコンが苦手な人でも簡単に操作できること。そして、政府も採用している、非常に高いセキュリティ技術を使っていることです。コンピュータが苦手な人でも、外出先で安心して仕事に使えます。例えば、神奈川県箱根町北部で水道事業を運営する箱根水道パートナーズには、そのセキュリティの高さを活かした使い方をしていただいています。
かつて同社では、工事の現場で、作業が必要な水道管の位置を知りたいときは、その都度、電話で担当者に確認するという方法を取っていました。
今は、InCircleで位置情報を知らせると、その周辺の管網図がスマホやガラケーで送られるようになりました。この機能によって、生産性が大幅に向上したということです。
簡単でセキュアという強みが支持され、こちらのサービスも、りそな銀行や大阪大学、JFEエンジニアリング、BUFFALOなど、多様な企業や団体でご利用いただいています。
三つ目は、昨年3月に始めたAI分析サービスの「People Engagement® Cloud」です。独自のAIエンジンを開発し、InCircle上で行なわれているチャットのデータを解析することで、従業員のモチベーションの低下を察知し、離職リスクを予測しています。今後はAIを活用したサービスにも注力していく意向です。
もともと当社は、AOSテクノロジーズの新規事業として始まりました。当時、同社の社員だった私が提案した事業だったのですが、ヒントになったのは、現地法人設立のために米国に渡り、仕事と出産、育児に10年ほど奔走していた経験です。
そのときに助かったのは、授乳中でも片手で情報収集ができる、予防接種や健康チェックなどの育児情報がSMSで送られてくるサービスでした。
ところが、帰国すると、育児に関するお知らせが、なんでも郵送で届くようになりました。封筒を開ける時間もないうえに、開けてみても我が子が該当するのかどうかわからない。この差はなんだろう、と思いました。
仕事面でも、米国は広いので、ビジネスチャットやSMS、ビデオ会議をフル活用していました。だから育児中も家で仕事ができたのですが、日本ではまだビジネスチャットが使われず、リモートで働く環境が整っていませんでした。
このような日本の状況に対して、「SMSやビジネスチャットなどでコミュニケーションを効率化すれば、生産性を上げられるのではないか」と思い、新規事業としてSMS配信サービスやビジネスチャットを提案したのです。
サービス開始当初はビジネスチャットがあまり一般的ではなく、お客様に「メールとどう違うの?」と言われましたが、LINEを仕事で使うお客様が増えてきたことで、セキュリティが高い当社のサービスにも注目が集まるようになりました。
一定数の顧客が獲得できたことで、15年3月にスピンオフして、新法人を設立しました。
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更新:11月25日 00:05