今も昔も、「雑談が苦手」という悩みは尽きないもの。たとえば、「初対面で何を話していいかわからない」「話がつまらないと思われていないか不安」「とにかく沈黙が訪れるのが怖い」などなど...。
しかし、放送作家でありながら、科学的に研究されたトークメソッド「インプロ(即興力)」の養成講師として活躍する渡辺龍太氏によれば、雑談上手と雑談下手の違いは「紙一重の違い」に過ぎないと言う。
そこで今回は、そんな渡辺氏の著書『雑談がおもしろい人、つまらない人』(PHP研究所)の中から、「どんな人でも雑談が盛り上がる、たった1つの法則」について語っていただいた。
最初に、雑談にまつわる大きな誤解を解いておきたいと思います。それは、「雑談に才能はいらない」ということです。
たしかに、話をしているだけで多くの人を笑わせて、ギャラを貰うようなお笑い芸人になるには、生まれながらの特別な才能が必要です。しかし、ラクに楽しく雑談を続ける程度に話すといったことであれば、特別な才能は必要ありません。
そもそも、インプロ的な観点では、雑談はお互いのキャラクターを理解するという行為です。だから、お互いのキャラクターさえ理解できるのであれば、笑わせる必要もなければ、オチを用意する必要もありません。もっといえば、雑談の内容なんて何でもいい、とすら言ってしまってもいいのです。
その理由を説明するために、少しだけインプロについて詳しく説明させてください。インプロは即興力とか即興演劇などと訳されますが、その意味するところは、「一切の台本がない舞台上で、観客を楽しませるための演技メソッド」です。
通常の舞台やお芝居では台本通りに演技する訓練や練習をしますが、インプロは「台本のない会話」を前提として演技の練習を行います。その即興劇の舞台上で、俳優たちが意識しているポイントが2つあります。それは、
1.自分が演じている人物のキャラクターを明確にすること
2.劇の間中、そのキャラクターがブレないこと
この2つのポイントを押さえるだけで、舞台を見ているお客さんは、その劇をおもしろいと感じて満足します。なぜなら、人は基本的に、目の前にいる人物のキャラクターがわかれば、その人物が、直面する事柄をどう考え、どう行動するかということに、強い興味関心を抱くからです。
つまり、その人物のキャラクターがしっかりと確立されていれば、どんな劇の内容であろうが、劇は成立するのです。
更新:11月23日 00:05