続いて、コンセプチュアルスキルとヒューマンスキルについて説明しましょう。
コンセプチュアルスキルとは、戦略を立てたり、企画を立案したりするスキルのことです。つまり、ビジョンを策定し、それと現状とのギャップを分析して、ビジョンの実現のためには何を解決しなければならず、どうすれば解決できるのかを考える能力です。
そして、それを実行するために組織を動かすスキルが、ヒューマンスキルです。
テクニカルスキルを教える体制は多くの会社で整備されていますが、コンセプチュアルスキルとヒューマンスキルについては、社員にきちんと教育している会社はほとんどありません。事業部長クラスになって、やらなければならなくなったけれども、教えてもらったことがないので戸惑い、前任者などを見様見真似する、というケースがほとんどでしょう。
だからこそ、早い段階から自ら訓練をすることで、自分の市場価値を高めることができます。
では、コンセプチュアルスキルを高めるためには、どうすればいいのか。
「戦略を立てる訓練なんて、若いうちはできない」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。例えば、担当している商品の売行きが計画よりも悪ければ、その原因を分析し、どうすれば売上げを上げられるのかを考える。少なくともここまでは、決裁権がなくてもできることです。
こうした思考法について書かれたビジネス書はたくさん出版されていますし、セミナーも多く開講されています。それらを読んだり、受講したりして、実際に仕事の中で実践することも、コンセプチュアルスキルを高めるために有効です。
実際に転職活動をすると、コンセプチュアルスキルの高さは面接でわかります。これまでに関わった仕事で、どのようなビジョンを持ち、それと現状とのギャップをどのように分析して、ギャップを埋めるために何をしたのかを理路整然と話せれば、コンセプチュアルスキルが高いと判断されるわけです。
ヒューマンスキルも同様です。管理職でなくても、チームの一員としてメンバーとのコミュニケーションをうまく取ろうという意識を持って行動することで、高めることができます。
コーチングやファシリテーションのセミナーも数多く開講されていますから、それらを受講して、学んだことを仕事で実践するのもいいでしょう。PMP(Project Management Professional)というプロジェクトマネジメントの国際資格など、資格を取得するのも有効です。
また、人間の心を理解することも重要です。人によって、どうすれば動いてくれるのかは違います。
ヒューマンスキルが高くなってくると話し方などが変わり、雰囲気も変わってきます。それは転職活動の際に面接官にも伝わります。
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更新:11月23日 00:05