2019年12月24日 公開
2023年02月24日 更新
「販売管理費人材」とは、「“稼ぐ”ことに貢献する業務を行っている人」です。
直接的には営業関連業務に従事している人。また、直接・間接に稼ぐ業務として、マーケティング業務や企画業務の人。管理部門系でも、会社運営を差配することに関わる経理財務や人事、総務、情報システムなどでの企画・統括的役割での業務はここに当てはまります。企業が収益を上げることに関わる、付加価値業務に従事している人ですね。
その中でも「投資科目人材」とは、「プロセスを創意工夫し、プロジェクトマネジメントができる人」を指します。
業務設計をし、チームにやらせ、達成に導ける人。いわゆる「リーダー人材=課長、部長人材」です。
販売管理費人材は、その人が担当業務でしっかりとバリュー=成果・価値を出している限りにおいて、会社や組織から求められる人材です。
気をつけたいのは、昨今は、原価人材のみならず、販売管理費人材の業務についても、機械化、自動化の波が押し寄せていること。付加価値系の業務だからといって安穏としていると、営業支援システムやマーケティングオートメーション、あるいは会計やHRのTechサービスに業務が代替されてしまっているということが、気がついたらある日起こっていた、ということが頻発しているのです。
一方、リーダーシップを発揮し、組織をリードしてくれる投資科目人材には、マネジメントの役割と相応の報酬、また、成長の期待と機会がより多く与えられます。肩書きうんぬんは置いておいても、これからの時代を生き抜くには、リーダー人材となることが必須であるということを理解していただくといいでしょう。
最後に「事業利益連動型報酬人材」です。これは「事業がもたらした利益からの分配で報酬をもらう人材=事業部長・役員クラス人材」です。
大手企業の幹部職の方々などでも案外理解していないのが、「販売管理費人材」「投資科目人材」と「事業利益連動型報酬人材」の根本的な違いです。
「販売管理費人材」「投資科目人材」=課長・部長クラスまでは、会社から言われたこと・求められたことを実行する人ですが、「事業利益連動型報酬人材」=事業部長・役員クラスとは、自身が何をすべきかを考え、決め、実行する人です。
事業利益連動型報酬人材とは、事業自体の仮説や方針を立て、その実現のために組織を動かせる人、つまり、事業リーダー人材を指します。
事業責任、経営責任を取れる人、リスクを背負える人でなければなりませんが、その分のやりがいと挑戦、有形無形の見返り(報酬)を大きく得ることのできる立場です。
以上、4つの人材タイプをご紹介しました。
出世とは、この4タイプの間をまたぐことです。「原価人材」(一般社員)から「販売管理費人材」(幹部人材)へ、「販売管理費人材」(幹部人材)から「事業利益連動型報酬人材」(経営人材)へと転換していくことを意味します。
決して、一般社員→主任・係長→課長→部長→執行役員→取締役、と一直線に連続的に肩書きが上がっていくことではないのです。と言いますか、そう考えていると実際には階段を上がることができません。それは、4タイプの人材が、求められること、なすべきことがまったく異なるということから、ご理解いただけると思います。
幹部クラスやリーダークラスの方々が「自分に上の役割を任せてくれない」という不平不満を口にされるのを、私も幹部転職支援の場面で拝見しますが、それは、「販売管理費人材」レベルの仕事に留まっている人には「投資科目人材」レベルの役割は任せられないし、「投資科目人材」レベル止まりの仕事なら「事業利益連動型報酬人材」レベルの役割は任せることができないからです。
この転換を理解しているか否か。理解し、自らの考え方・視界・動き方を、キャリアの中で折々に転換できる人が、出世する人なのです。
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いま、私たちの雇用環境に起きている事象は、‟中抜き”現象です。
既に、これまで多くの企業でボリュームゾーンだった中間層=「販売管理費人材」が減り、「原価人材」(アウトソーシング企業、派遣雇用を含む)と「投資科目人材」「事業利益連動型報酬人材」の二極に分かれつつあります。これから、そのどちら側に属するかで、2020年代のあなたの働く景色、生活風景が大きく変わることは間違いありません。
更新:11月25日 00:05