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お金持ちはやっている!?「相続税」節税対策

2020年01月21日 公開
2023年05月16日 更新

角田壮平

効果抜群!相続税節税対策3

1 生前贈与
通常、贈与にも贈与税がかかるが、非課税になる増与もある。これを使って生前に相続人に対して贈与し、相続財産の総額を減らす方法がある。具体的には、もらう人ごとに年間110万円までの贈与が非課税となる「暦年課税」の制度を使うケースが多い。子や孫をはじめとし誰に対しても、現金に限らずどんな財産の贈与でも可能だ。
ただし、相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象(相続で財産を取得していない人に対する贈与は除く)となるため、確実に多く財産を渡したい人に対しては、早めに贈与をスタートする必要がある。

!注意!
やり方を間違えると相続財産と判断されてしまうことがあるので要注意。よくあるケースが「名義預金」。子や孫の名義で口座を作り、そこにお金を貯めているという場合だ。贈与はする側とされる側の合意があって成立するものなので、この口座の存在を被相続人が亡くなるまで子や孫本人が知らなかった場合などは、相続財産にカウントされてしまうかもしれない。

2 不動産の購入
現金・預貯金はそのままの金額が相続財産となるが、不動産の場合はその物件を買った金額が評価額になるのではなく、独自の方法で算出され、評価額が決定する。このとき、買った金額よりも大幅に価格が下がることがほとんどだ(もちろん、不動産そのものの価値が下がるわけではない)。これを利用して、預貯金を不動産に変えて相続財産とすることができる。

!注意!
1億円の物件が2,000万円と評価されることもあるというから、お金持ちの節税対策としては最適の方法かもしれないが、やりすぎると税務署から「節税目的ではないか?」と指摘が入ることがある。
実際に、亡くなる数年前から億単位の物件を次々に購入し、銀行とやり取りした書類にも「節税目的のため」と明記してしまい、税務署のチェックに通らなかったというケースがあったそうだ。

3 生命保険
生命保険金(死亡保険金)は原則として本来の相続財産には含まれず、遺産分割の対象外になるが、相続税を計算するうえでは「みなし相続財産」として扱われる。
ただし、死亡保険金は遺された人が生活に困らないためのお金なので、「500万円×法定相続人の数」が非課税となる。基礎控除のほかにこの金額を受け取った保険金から控除するので、同額の現金を相続するより節税になる。

!注意!
被保険者が亡くなった人でない契約の場合には非課税枠の適用ができないので契約内容には注意が必要だ。また、死亡保険金の受取人を相続人以外に指定してしまうと、非課税枠は使えなくなってしまう。節税のためには、例えば「介護をしてくれた長男の妻に渡したい」というときでも、非課税枠の適用を受けたい場合には、受取人としては長男を指定しよう。

 

<『THE21』2020年1月号より>

 

著者紹介

角田壮平(つのだ・そうへい)

税理士

東京都出身。アクタス税理士法人、EY税理士法人、税理士法人チェスター専務役員を経て、相続に専門特化する税理士法人トゥモローズを設立、代表を務める。相続税申告件数、数百件の実績がある。
http://tomorrowstax.com/

   

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