THE21 » キャリア » 「研修中」の名札でお客さまにエクスキューズしている会社は、沈む

「研修中」の名札でお客さまにエクスキューズしている会社は、沈む

2019年11月05日 公開
2024年12月16日 更新

小宮一慶(経営コンサルタント)

「いちばん厳しいお客さまの目」で考えられているか

もちろん、誰でも初めは不慣れで失敗もするものです。それがいけないと言っているのではありません。ただし、新人が新人なりに精いっぱいやっていたとしても、お客さまの求めるレベルに達していなければ、意味がないのです。あくまでもお客さまの視点です。

そして、その仕事に従事する上で必要とされるスキルと共に、「お客さまから求められているのは何なのか」をきちんと教えないまま、現場に立たせる会社のあり方に問題があるのです。

接遇に不満があったとき、直接その場で文句を言ってくれるようなお客さまは実は有難い存在で、たいていの場合、お客さまというのは、不快感を持ったら二度と来ません。「黙って去っていく」が大原則で、次の機会はないのです。

新人教育を徹底している会社は、従業員教育の大切さをよく分かっています。お客さまを大事にするためにどうしたらいいかを考えている会社です。

本当の「お客さま第一」とは、売り手の立場でものを考えるのではなく、買い手の視点に立つことです。お客さまの立場になって、お客さまが満足するレベルで「どうしてもらえるのがうれしいか」を考えられるようになることです。

そのためには、社長や幹部が、「いちばん厳しいお客さまの目でものを見られる」ことが大切です。

私の知っているある社長は、事前に知らせることなく、ときどき一人でふらりと店舗を訪ねます。店長以外はほとんどの従業員が社長の顔を知りませんから、ただのお客さまとして接遇しています。「そこで感じたことは、たいてい、今のわが社の課題なんですね。面白いですよ」とその社長は言います。こういう視点が良い商品やサービスを生むのです。

著者紹介

小宮一慶(こみや・かずよし)

経営コンサルタント、小宮コンサルタンツ代表

1957年生まれ。京都大学卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。米ダートマス大学タック経営大学院にてMBA取得。91年、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。96年に小宮コンサルタンツを設立し、現在に至る。2014年、名古屋大学経済学部客員教授に就任。十数社の非常勤取締役や監査役、顧問も務める。著書に『「金利上昇」に勝てる経営』(ビジネス社)ほか多数。

THE21の詳細情報

関連記事

編集部のおすすめ

「投資レジェンド」が教える、株を買うべき会社の見分け方

藤野英人(レオス・キャピタルワークス〔株〕代表取締役社長)

「隠れブラック企業」の見分け方

新田龍(ブラック企業アナリスト)

中小企業の挑戦が、世界をより良いものに変えていく

植松 努(植松電機 代表取締役社長)