これからの10~15年間は、個々の家計が「フロー型」へとシフトする過渡期になります。この移行は金融機関や企業にも多大な影響を及ぼし、日本経済の仕組みが根底から変わる可能性もあります。
その大転換期において、従来の「ライフプラン」の立て方はもはや通用しません。20年後、30年後のライフイベントを細かく洗い出して「教育・住宅・老後」の3大資金を作る方法は、意味をなさなくなるでしょう。
教育費に関しては、教育の無償化が進展する可能性が高まる中、親の金銭的な責任は今ほど重いものではなくなると思われます。また、住宅資金も空き家問題がこれだけ大きくなっているのですから、賃貸の市場は伸びるはず。
そうすれば、持ち家にこだわる必要がなくなります。老後は、「現役/定年後」という枠組みがなくなることで、老後資金を貯める必要は低減します。
つまり「大きく貯めて備える」のではなく、「日々のお金の流れを健全化する」、つまり収支バランスの調整こそが最優先事項になるでしょう。
それを踏まえた新時代のライフプランとはどのようなものでしょうか。収入においても支出においても、キーワードは「満足度」です。
長く働いて収入を得るなら、「やりたいこと」でなくては続きません。ですから、自分が本来何をしたいのかを見極める視点が必要です。
自分のキャリアを振り返り、何に一番やりがいを感じてきたか、などの「棚卸し」をすることが「いつまでも働ける人」になる準備になります。
支出も同じく「満足度の高い使い道」の割合を増やすことが最優先です。モノのあふれる社会では、つい不要なものを買い込みがち。本当に欲しいものだけを選ぶ力を鍛えましょう。
着目ポイントは「一生涯費目」。固定費・変動費という従来の分け方ではなく、食費・住居費・被服費・通信費・趣味にかけるお金など、一生涯使い続ける費目をチェックし、自分に必要のない支出を極力減らしましょう。
人生が長くなればなるほど、この効果は増します。月2万円のカットも、40年続けば1千万円近くになります。
こうして働き方・使い方を日々整えていきましょう。それが、長い人生において安心と満足を得る秘訣なのです。
取材構成 林 加愛
更新:11月22日 00:05