1973年、埼玉県生まれ。法政大学卒業後、大手信用金庫に勤務。ファイナンシャルプランナーとして「家計の見直し相談センター」相談員を務めた後、13年に「生活マネー相談室」を設立、これまでに延べ数千件超の家計相談に乗る。『レシート○×チェックでズボラなあなたのお金が貯まりだす』(プレジデント社)他著書多数。
少子高齢社会を迎えた課題先進国の日本の家計には、様々な異変が起こりつつあります。
高所得者と低所得者の格差や貧困率の増加はすでに社会問題に。生活保護世帯数の増加も見逃せません。注目すべきは、生活保護の「受給開始理由」です。40年前に最も多かった理由が「傷病」だったのに対し、今は「貯蓄の減少」。つまり、貯蓄が尽きた高齢者の増加が背景にあるのです。現在、受給者の半数は高齢者であり、今後その割合はますます増えるでしょう。
会社員も安泰ではありません。給与の手取り額はこの十数年で年々減少しています。主な原因は、少子高齢化に対応するための社会保険料の増加です。現在、残った手取り額にも消費増税が追い打ちをかけようとしています。
これが、今の40代ビジネスパーソンの方々が置かれた状況です。そして未来においては、40代の方々自身が高齢者になります。そのとき、家計には何が起こるでしょうか。
ここで参考にしていただきたいのが左『磯野波平氏の老後シミュレーション』です。
波平氏が登場した昭和20年代の男性平均寿命は60歳。54歳で定年間近の波平氏はすでに老年期ですが、当時の定年および年金支給の開始年齢は55歳。数年後には大往生なので、老後資金を案じる必要はありませんでした。
対して今は、人生80年時代。定年後の人生が20年続く現状を前に老後不安が顕在化し、「現役の間に老後資金をできるだけ多く貯める」ことが必要不可欠となりました。
では、人生100年時代はどうなるでしょうか。定年が65歳もしくは70歳に伸びても、その先さらに30年。現役時代の資金だけで老後を賄うのは、明らかに不可能です。
更新:10月14日 00:05