2019年10月09日 公開
2023年02月24日 更新
通常は独創的な発想が必要と思われている数学や物理学においても、以上で述べたように、「模倣なくして創造なし」という原則が正しいのです。
ただし、誤解のないように、つぎの2点を注意しておきましょう。
第一に、以上で述べたのは、「成功した方法を模倣する」ということです。何でも模倣すればよいというわけではありません。模倣の対象を誤ってはならないのです。例えば、飛行機は、鳥の模倣を捨てたときに成功しました。飛行する機械を作る際の模倣の対象として、鳥は適切なものではなかったのです。
第二に、「模倣なくして創造なし」とは、「創造に至る出発点が模倣」ということです。模倣だけにとどまっては、進歩がないことは明らかです。
「パターンに当てはめるだけでは、定型的な思考しかできない」という批判に一定の真理が含まれていることは、事実なのです。既存のパターンに束縛されると、自由な発想ができません。多くの問題は定型的パターンの当てはめで解けますが、それに終始しては限界があります。パターンの当てはめと、それからの脱却努力を適切にバランスさせることが必要なのです。ただし、それは、きわめて難しい課題です。
更新:11月25日 00:05