2019年10月07日 公開
2022年10月25日 更新
――サービス開始時のユーザーの反応はどうでしたか?
稲田 まったく刺さりませんでした。スマホを持っていない職人さんも多かったですから、スマホで仕事をすることの意味を感じていただけなかったんです。
でも、2016年になると潮目が変わりました。誰もがLINEを使うようになり、B to Bでもチャットでコミュニケーションを取る機運が出てきたので。そこから一気に広がりました。
――約1,600社まで導入企業が増えているわけですが、この数をどう感じていますか?
稲田 ちょっと遅いかな、と思いますね。建設業の免許を持っている会社は約50万社くらいあって、その他、リフォームや設備工事、水道工事などの施工会社も含めると、「&ANDPAD」の市場は、かなり大きいものになります。そう考えると、まだまだです。
――他社との競争戦略は考えていますか?
稲田 競合他社はいますが、あまり気にしていません。我々はユーザーのほうを見ています。
ただ、施工管理をスマホでするという市場を、競合と当社が一緒に広げてきたという面もありますから、競合に感謝しています。
――会社の規模も拡大してきていると思います。
稲田 そうですね。今、社員数が100人を超えてきているところで、毎月10人くらい入社しています。
――どういう業界から入社してくるのですか?
稲田 建設・建築業で働き方に疑問を持った方とか、社会課題に向き合いたいエンジニアなどです。
――組織が大きくなることで、経営者として難しさを感じたことはありますか?
稲田 50人になった頃が難しかったですね。それまでは、現場で背中を見せるプレーイングマネージャーとして、自分が結果を出して社員についてきてもらっていたのですが、そうはいかなくなりました。ミドルマネージャーが重要になって、それができるメンバーを採用したり、育成したりすることに力を入れるようになりました。
育成で最も重要なのは「建設・建築業界の働くを幸せにする」というミッションへの共感です。参加感も重要なので、ミッションに基づいた行動規範を作るワークショップを全社で行なったり、チームごとに研修をしたりしています。
――これからの展開として考えていることは?
稲田 施工現場でのコミュニケーションから広げて、現場監督が発注する資材の原価管理の仕組みや、営業チームが使う営業管理の仕組みなど、建設・建築会社のバリューチェーンのそれぞれの部分に合った仕組みを、「&ANDPAD」のオプション機能として提供していきます。
その他、職人の学校のスポンサーをさせていただいたり、ITの授業を担当させていただいたり、業界のためになる投資もしていきたいと思っています。
数字としては2年後に導入企業1万社を目標にしていますが、建設・建築業界でITについて困ったことがあったら相談される会社になることが目標です。そのためには、建設・建築業は地場産業なので、それぞれの地元との関係を強くすることも大切。エリアごとの採用も進めたいと思いますし、8月に池田泉州キャピタル〔株〕、いよぎんキャピタル〔株〕、京都リース・キャピタル〔株〕、ちばぎんキャピタル〔株〕からの資金調達を発表したように、地銀様と一緒になって地域を盛り上げていきたいとも思っています。
《写真撮影:まるやゆういち》
更新:11月22日 00:05