2019年07月17日 公開
2023年03月02日 更新
ただ、在宅勤務なら割り込みを完全に防げるかというと、必ずしもそうではありません。実は、思わぬ邪魔者が潜んでいます。
その代表格が、SNSに付属するチャットツール、メッセージツール等です。集中して業務に取り組んでいるとき、スマートフォンに届いた通知がつい気になってしまい、手を止めて返信しないと落ち着かない気持ちになってしまうのです。
これでは、オフィス勤務の「割り込み」となんら変わりません。
そこで、在宅時でも特に集中する場面では、スマホへの通知をオフにする、あるいは電源を切っておく。さらにメールやSNS、チャットツールも閉じておく。こうしたルールを決めておくことが不可欠です。
当社ではこれまで約300社に対して、在宅勤務導入のサポートをして参りました。その経験からわかったことは、会社と同じように自宅で仕事をすればいい、という単純なものではないということです。
ここまでの話と矛盾するようですが、在宅になった途端に、逆に集中力が途切れ、効率が落ちるという人もいます。周囲に人がいない孤独や寂しさから仕事の調子が上がらないという人もいますし、文章での業務報告が苦手で意思が伝わりにくいという人も。中には連絡がとれず、音信不通になる人もいます。
家で仕事をするのにも、それに必要なリテラシーがあるのです。
こうしたリテラシーの有無を判断するために、当社では、秘書検定の在宅勤務版とも言える「在宅秘書検定」という仕組みを導入し、合格ラインに到達した人に在宅勤務で働く環境を提供するようにしてきました。
在宅秘書検定では6つの能力が問われる
在宅勤務がオフィス勤務と最も異なるのは、仕事の状況が上司や周囲には見えないということです。
本当は提案書作成が順調に進んでいたとしても、順調であることを上司に伝えない限り、上司は状況を知ることができずに、不安になるものです。
だからこそ、仕事を一緒に進めている方々が心配にならないように、特に周囲の方々が心配するような次の3点に関しては、意図的に自ら積極的にコミュニケーションを行っていく能力が求められます。
1)「お願いした仕事は、いつやってくれるのだろうか?」(計画)
2)「予定してくれた通り、今、やってくれているのだろうか?」(状況)
3)「仕事の結果は、どうだったのだろうか?」(結果)
恥ずかしながら、こうした観点に目を向けていなかった頃は、スタッフ同士の関係もぎくしゃくし、当社の離職率は50%を越えていました。ところが、在宅勤務に必要なリテラシーを明確にし、仕組みを固めた後には、離職率が5%以下に低減したのです。
仕組みを整えることで、在宅勤務は生産性を高めるとともに、社員の満足度を上げる強力な武器となると確信しています。
更新:11月25日 00:05