2019年06月06日 公開
2023年03月02日 更新
商店街の個人商店も、GAFAをはじめとした世界的一流企業も、ビジネスモデルの骨組みという面からみると構造は同じ。こう主張するのは、『失敗をゼロにする 起業のバイブル』著者の中山匡氏だ。
そうしたビジネスモデルの「型」を知れば、商店街が果たしてきた価値をIT企業がどのように進化させたかが理解しやすくなり、さらには、商店街に再び客足を戻すようなイノベーションまでもが可能になるという。いったい、どういうことなのか。
年々増え続けているシャッター通り…。もはや、商店街の役割は終わった、商店街から学べるものはないとお感じの方も多いかもしれませんね。
ところが実際は、GAFAをはじめとした一流IT企業であっても、商店街によくあるお店を、ネット空間で進化させただけであることが多いものです。
例えば、facebookは郵便局の発展形です。また、Googleと八百屋は骨格が似ています。
一体どういうことなのか、少しずつ理解を深めていきましょう。
著者が経営するビジネススクールでは、10年かけて1,061個のビジネスモデルをリサーチしてきました。その結果、分かったことは「ビジネスモデルには型がある」ということです。そして、それは無限にあるのではなく、7モデル22分類に整理されるということでした。
今回は、全体像を理解頂くために、細かい分類はおいておき、この7モデルをもとにお話していきたいと思います。
郵便局が提供している価値の1つが、手紙を届けたい相手に届けてくれること。まさに、大切な人とあなたの間をつないでくれるのが郵便局の役割。こうしたモデルのことを「マッチングモデル」と呼んでいます。
一方で、facebookは、「友人・家族・グループをつなぐサービス」です。最近では、E-mail以上に、同社のfacebookメッセンジャーを使っているという人も多いかもしれませんね。
まさに、これは手紙の代わりそのもの! 手紙の場合には、相手の住所が分からないと届きません。ところが、facebookメッセンジャーでは、名前で検索して相手を見付けることができれば、相手の連絡先が分からなくても、メッセージを届けることができます。
まさにfacebookは、郵便局の手紙のサービスを進化させたものと言えますが、ビジネスモデルの構造は同じだと言えるのです。
今度は、Googleを見てみることにしましょう。同社のミッションは、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」です。
こうした事業のことを、「情報整理モデル」と呼んでいます。本来であれば、情報を必要とする人が自分で集める必要があります。それを、代わりに行ってあげるモデルです。
では、八百屋はどうかというと、集めているのは情報ではありませんし、野菜を世界中から集めているようなケースも希でしょう。とはいえやはり、八百屋の意義は品揃えにあります。
また、売れる野菜ほど、お客さんの手にとりやすい場所に置くことで、便利なお店になっていきます。Googleが、ユーザーから求められる情報ほど検索結果の上位に表示させる努力をしているのに、とても似ていますね。
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更新:11月25日 00:05