2019年07月09日 公開
2023年03月02日 更新
そのことを理解するために、今度は同じ業界での自己資本比率を比べてみましょう。熾烈な争いを繰り広げているビール3社を取り上げます。
表を見ると明らかなように、自己資本比率ではキリンが39・8%と高くなっています。ところが、総資本に占める資本金等の割合はサッポロが高いのです。
それがどこで逆転したかは歴然としています。利益剰余金でキリンが群を抜いているのです。サッポロは利益剰余金の構成では1桁台の割合です。
キリンとアサヒの自己資本比率はあまり変わらないように見えますが、キリンは非支配株主持分が多いため(上場している協和発酵キリンなどの影響)、実質的にはアサヒとの間にも財務的優位性があると考えられます。キリンの純資産の構成比率が高いことはそのことを意味しています。
このように自己資本比率の差は、利益剰余金の差である場合がほとんどです。大胆にいえば、自己資本比率は長期的な収益性を表しているともいえるのです。
(『ざっくりわかる「決算書」分析』より抜粋・編集)
更新:11月22日 00:05