2019年07月12日 公開
2023年05月16日 更新
「この人、何言ってるのかな……」と思われた読者の方々、こんにちは。
取りあえず、最後まで読んでください。
私は、錯乱してこの文章を書いているわけではありません。
(酔ってる人が「酔ってない」と言うのと同じくらい、信ぴょう性がないかもしれませんが、この際、私の頭が正常かどうかはどうだっていい話です)
「そうだ、京都に行こう」くらい軽いノリで、上記のキャッチコピーを書いたのには、訳があります。
『完全教祖マニュアル』は、タイトル通り、「あ、私でも○ー○で○○○○な宗教をつくれるかも☆」(○○にはあなたの好きな形容詞を入れてください)と思わせるほど、教祖になるためのノウハウを平易に解説している書籍です。
「あー、ネタとして書いた本だ」と切り捨てないでください。
それは、時期尚早というものです。
本書には、ネタとして片づけられない「ナニカ」があります。
本書は教祖になる方法を、軽快な文章で面白おかしく解説(時に揶揄)しているのですが、随処に著者の宗教に対する造詣の深さがうかがえます。ユーモアの中に、真理をついた分析が散見されるのです。
例えば、……を書こうと思ったのですが、ネタばれになるのでやめておきます。面倒くさくなったわけではありません。
そもそも、単純にネタとして本を書くにあたって、古今東西のあらゆる教祖に共通する成功法則を抽出して、マニュアルとしてまとめるなんて、そんな時間と労力のかかることをするでしょうか。ちなみに、参考文献の数がハンパないです。
恐らく、今まで成功してきた宗教家は、教祖のカリスマ性や才能という一言で片づけられてきたはず。著者はそこで思考停止をせず、システマチックに宗教家の成功要因を分析してみせた。
これは、ただのネタとして書いた本ではありません!
宗教に対するありあまる情熱を持ち、とてもソフィストケイトされた著者が、「全精力を注いでネタとして書いた書籍」です。
本当に素晴らしい。まだまだ出版業界は捨てたものではないと思います。
ただ、ほとんどの方が本気で教祖になるつもりで本書を手に取るわけないことくらい、私でもわかります。面白い本として楽しもうとしている方が大半でしょう。
でも、ある読み方をすれば、本書はかなりの確率でライフハックとして役立つことがわかります。
それは、オンラインサロンで騙されない方法です。
教祖(インフルエンサー)とは、言い換えれば、信者(フォロワー)を獲得し、彼らの心を満たし続ける存在です。それによって、生態系が保たれています。もちろん、多くは「世の中をよくしたい」と思って情報を発信しているのでしょうが、なかには、私利私欲のためにフォロワーを利用している人がいるのも事実です。
良くも悪くも、教祖(インフルエンサー)は「人の心をつかむ技術」に長けています。ただ、そうした人に自分の信仰(善意)を利用されたのではたまったものではありません。(まあ利用されてようが、本人が幸せならそれでいいんじゃね? という見方もあります)
本書は、教祖(インフルエンサー)になる方法を解説した書籍ですが、教祖のなり方がわかるということは、つまり、「どういう手法を用いて信者(フォロワー)を作るか・心をくすぐるのか」がわかるということです。
「教祖ビジネス」に騙されないためにも、本書を手に取ってみてください。
「そうだ、教祖になろう!」とかほざいているやつの言っていることは信じられない?
いやいや、心配する必要はありません。「イワシの頭も信心から」と言うじゃありませんか。「信じる者は救われる」のです! 何も考えず、素直な心で本書を手に取ればいいのです。
まぁ、ここまで熱心に本書(経典?)を布教している私もまた、すでに著者の信者になっている可能性は否定できませんがね。面識はないですが。
執筆(S/N)
更新:11月22日 00:05