この状況に危機感を覚え、サウジアラビアの改革を進めているのが、高齢のサルマン国王に代わりこの国を治めるムハンマド・ビン・サルマン王子(通称MBS)です。オイルマネーに胡坐をかいてきた王族たちを排除するなどの粛正を断行してきました。当然、MBSに不満を持つ王族も多くいます。
サウード家の腐敗を暴いてきたトルコ系サウジアラビア人ジャーナリストであるジャマル・カショギ氏の殺害事件。同氏は結婚届を出しに行ったトルコのサウジアラビア領事館で消息を断ち、トルコ政府がサウジ当局による殺人だ、と発表したのです。サウジアラビアの国際的な立場は悪くなり、同国を擁護するトランプ大統領への反発も強まっています。
誰が殺害を命じたのかは明らかになっていません。MBS黒幕説もありますが、なぜ証拠が残る領事館でわざわざ殺すのか、疑問が残ります。
むしろ、MBSを陥れようとする勢力の陰謀である可能性が高いでしょう。カショギ氏殺害によって、サウジアラビアの深刻な内部対立が明らかになり、米国のサウジ離れも進みます。サウジアラビアの苦境を一番喜んでいるのは、イランでしょう。
更新:11月22日 00:05