2019年06月11日 公開
2023年03月02日 更新
ワインが世界共通の教養だといっても、具体的にどのように学び愉しめばよいか、ハードルが高く感じる人も多いだろう。そこで、そんなワインビギナーに向けて、シニアソムリエであり、自身も筋金入りのワイン愛好家である友田晶子氏に、ワインの面白さと産地の特徴、お勧めの銘柄などを教えていただいた。(取材・構成=内埜さくら)
ワインの1番の魅力は、「異国文化に触れられること」だと思います。近年は日本産のワインも良いものがたくさんあるとはいえ、元々はヨーロッパ発祥のものですから、世界史と共にワインを知ると面白いものです。
例えば、「ワイン発祥の地はメソポタミアである」「フランスの英雄、ナポレオン・ボナパルトはシャンベルタンというフランス・ブルゴーニュで造られるワインが大のお気に入りで、戦いの前には彼が率いる将軍らとともに必勝を期して飲んだらしい」など。勉強するほどに、奥深さにハマっていく人が多いのです。
気候と風土がダイレクトに反映されるのも、ワインの醍醐味。原料であるブドウは温暖な気候と適度な雨量によって育つ農作物のため、ブドウの良し悪しでほぼワインの出来が決まります。
日照量が少ない寒い地域で育ったブドウは甘くならず、「味が軽い」「さっぱりした」「アルコール度数が低い」ワインになる傾向があります。
逆に日照量の多い暖かい地域で育ったブドウは甘く、皮も厚くなるため、「色が濃い」「甘い」「アルコール度数が高い」ワインになります。
この傾向をワインの産地に当てはめると、フランスが地理的に寒さと暖かさのちょうどいいバランスに位置しているのです。
これが、「フランスワインが世界の指標」となっている理由です。ワインは「果実味」と「酸味」と「渋み」の三角形の大小でグレードが決まります。フランス産は、美しく大きな三角形を描くワインを数多く造り続けてきているのです。
長年、フランスはワインの名産地として知られていますが、近年の地球温暖化問題は、ワインの味にも影響を与えています。味わいのエレガントさを決めるのは「酸味」ですが、今まで上質なワインを造ることができると言われてきた地域のブドウに、「酸味」が少しずつ足りなくなってきているのです。
一方で、今までワインを造ることができなかったイギリスや北欧、アラスカまでもブドウを生産するようになりました。今後の気温上昇により、ワイン造りに適した国・地域は変わっていくかもしれません。
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更新:10月14日 00:05