2019年05月01日 公開
本業以外の会社でも働く副業は、実際にはなかなか難しいだろう。しかし、だからといって諦める必要はない。本業や趣味で培ったスキルや知識を活かす、個人事業主的な副業もあるのだ。副業に詳しい染谷昌利氏に話を聞いた。
かつては、「副業」と言うと、本業の合間に時間給労働のアルバイトをする、というイメージがありました。しかし近年は、ネットを活用して、個人事業主的に、しかも複数の副業を並行して行なう人が増えています。
最もポピュラーなのは、情報を発信して広告収入を得る「アフィリエイト」。書評ブログで本を紹介するのでも、旅ブログでホテルを紹介するのでも、テーマは自分が得意なことでOK。「A8.net」などのアフィリエイトサービスプロバイダを利用すれば、すぐに始められます。
また、「Google AdSense」という広告プログラムを使うと、閲覧者の好みに合う広告が自動的に表示され、ワンクリックで数十円入ります。単価は安いですが、人気サイトになれば、ある程度の収入になります。
ここ1年で注目されるようになったのが、「オンラインサロン」。主宰者がスキルや知識などを提供する会費制コミュニティです。会費は500円程度から数万円程度と様々。「授業料として払う価値アリ」と思ってもらえれば、高額に設定できるでしょう。
以上のような副業を複数、並行してできるのが、ネットの強みです。経費がほとんどかからないので、リスクも小さい。
自由な時間を利用して収入源を増やす。これが、「新しい副業の形」だと言えるでしょう。
多くの人が「ブログに書いたり、他人に教えたりできる得意なことなどない」と考えがちですが、それは単に見落としているだけです。
例えば、会社の同僚のためにエクセルのシートを作ってあげたことはありませんか? 友人にiPhoneの便利な技を教えたことはないでしょうか? そうした経験こそ、副業にできるポイントです。「人の不便を解決する」ことは、報酬が発生していいことなのです。
キャンプをするとき、慣れた人にテントの設置や食材の調達、片づけなどをしてもらったら、その代価を上乗せした参加費を、その人に払ってもいいという人は少なくないでしょう。これも副業になります。
自分の知識や趣味をブログに綴って広告収入を得るもよし、実際にやって手数料や授業料を取るもよし。後者の場合は、まずは同僚や友人に声をかけていくといいでしょう。報酬の話をするのも遠慮せず、交渉スキルを磨く練習だと捉えるべきです。
するといずれは、本業の勤務先との交渉も上手になります。勤務先が副業に寛容なら、時短勤務の許可を得てさらに副業を増やすなど、自らの裁量で働き方全体をアレンジしていくこともできるようになります。
持てるスキルを活かし、より自分らしい働き方を有機的に広げる――。そんな新しい可能性に、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。
《取材・構成:林 加愛 写真撮影:長谷川博一》
《『THE21』2019年4月号より》
更新:11月21日 00:05