2019年05月12日 公開
2019年05月12日 更新
今月は『DIALOG NOTEBOOK(ダイアログノート)』を紹介します。
このノートは、私(文房具朝食会主宰・原敬輔)の文房具仲間で、文房具の魅力を紹介するウェブマガジン『毎日、文房具。』の編集長・髙橋拓也さんが作ったノートです。
DIALOG NOTEBOOKは、縦14cm、横9cmの、A6サイズより少し小さなポケットサイズのノート。ノンブル(ページ番号入り)の5ミリ方眼で、62ページです。
個人メディアがメーカーと協力して文具を制作したところが気になって、開発秘話などを髙橋さんにインタビューしました。
2014年9月に創刊した文房具の魅力を紹介するウェブマガジン「毎日、文房具。」の代表 兼 編集長。文房具が大好きで、ウェブマガジンを通じて文房具の素晴らしさを日本中、世界中に発信することをライフワークにしている。最近では文房具売り場のプロデュースや文房具メーカーと共同で販売促進企画を行なうなど活躍の幅を広げている。
2018年12月に『DIALOG NOTEBOOK(ダイアログノート)』を発売。
原 好きが昂じて、自分でも文房具を作ってみたいと思う方もいらっしゃいますが、その中でもノートを選ばれた理由はなんですか?
髙橋 私自身が、文房具の中でもノートや手帳が特に好きで、得意分野だったからだと思います。昔から紙にこだわったノートの書き心地の違いを楽しんでいました。
仕事ではA5サイズのノートを使っていますが、毎日、メモ用に持ち歩くには、A6以下の小さなノートを好んで使っていました。でも、小さなノートで自分が使いたいポイントを押さえたものが、世の中にありませんでした。
具体的に、自分が欲しいポイントをまとめると、以下のとおりです。
・紙質が良く、書き心地が良いこと
・持ち歩く気分が上がる表紙デザインであること
・使い込むと味わいが深まること
・文字もイラストも書きやすい5mm方眼であること
・罫線は目立たない薄い色であること
・万年筆で書いても裏抜けしにくいこと
・使い終わった時に達成感を感じ、また使いたくなること
・角が丸いこと
・あとから検索しやすいようにノンブル(ページ番号)が入っていること
・持ち歩きやすいように薄くて軽いこと
「世の中にないなら自分で作るしかない!」と思って、自分が欲しいノートが作れるメーカーさんを探し始めました。
原 欲しいポイントの数がすごいですね。
紙は「金菱」と呼ばれる上質紙を選ばれています。理由はどこにあるのでしょうか?
髙橋 製造元である大和出版印刷の方におすすめしていただいたんです(大和出版印刷は神戸派計画ブランドの文房具を作っている会社です)。サンプルの紙を送っていただき、書き味や万年筆の裏抜けをチェックして決めました。
実は、他にもノートを作りたい紙がいくつかあります。例えば、バンクペーパーやOKフールス紙、手帳専用紙もいいですね。本文用紙違いのパターンで制作してみたいです。
原 ノートの制作において苦労されたポイントはなんですか?
髙橋 自分が欲しいノートを追求して作る一方で、せっかく作るのであれば、できればたくさんの人に使っていただきたいと考えるようにもなりました。そこから、「使っていただく方」をイメージしながら作ることに苦労しました。
例えば、「自分は方眼が良いと思っているが、他の人はどうなんだろう?」「世の中で売れているノートは圧倒的に横罫線が多いので、横罫線のほうがいいのではないだろうか?」とか、「タイトルを書くスペースが欲しいけど、必要だろうか?」とかですね。
原 迷った時に、どうされましたか?
髙橋 実際にツイッターで聞いちゃいました(笑)。幸い、『毎日、文房具。』には、当時、約3万人のフォロワーさんがいらっしゃいましたので、アンケートに回答していただいたんです。
例えば、罫線の種類はどのようなものが良いか聞いたところ、2,000人以上の方に回答していただき、圧倒的に方眼が良いということがわかりました。
また、タイトルを書くスペースについては「必要ない」という声が多かったです。であれば、無理に用意せずに、なくしてしまってもいいかな、と考えました。タイトル欄を設けないのであれば、方眼の特性を生かし、縦でも横でも使いやすいように、ページ番号を横にも入れよう、という新たなアイデアも生まれましたね。
原 今後、どんなことにチャレンジしていきたいですか?
髙橋 紙の種類違いのものにチャレンジしたいですね。あとは、仕事でよく使うA5。いろいろな展開を考えていますので、楽しみにお待ちいただければと思います。
《写真提供:『毎日、文房具。』》
更新:11月22日 00:05