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脱・根性営業!営業現場に革新を起こす「ファネル」とは?

2019年04月08日 公開
2023年03月07日 更新

斎藤広達(シカゴ・コンサルティング代表取締役)

法人営業は「555」の法則に従う?

ただ、営業スタイルによって、ある程度のモデル化は可能です。たとえば、法人営業の世界では、実際にこの「555ファネル」で成約することが多いようです。

MR(医薬情報担当者)などは、その典型でしょう。

MRとは医薬品を取り扱う営業マンで、医師や病院に医薬情報の提供を行います。担当エリアの医師や病院を定期的に訪問し、自社医薬品の取り扱いを提案し、処方薬として採用してもらうという、いわゆる「ルートセールス」です。

医薬品は医師が直接仕入れるわけではなく、医師の処方の元、薬局にて患者の個人負担(および健康保険)にて購入されるものです。つまり、価格交渉はありません。

それだけに、商品そのものの魅力はもちろん、営業マンのスキルや人間力が交渉を左右すると言っていいでしょう。医療知識はもちろん、競合他社の情報なども知っておかねばなりません。

ルートセールスでは「相手に気に入られること」が何よりも大事です。飛び込み営業とは違いお互い顔を知っているわけですから、成約率はそれほど低くはないはずです。それでも、提案が通るかどうかは五分五分。各ステップでのコンバージョン・レートは5割といったところでしょう。

他にも、クライアントへシステム提案を行うIT企業、アパレル企業へ企画提案を行うデザイン会社など、「法人相手のルートセールス」では、この「555ファネル」と似たパターンになることが多いようです。

 

飛び込み営業は「335」の厳しい世界

一方、「555ファネルなんてとんでもない」と考えた人もいるのではないでしょうか。

実際、このモデルはあくまで、相手との関係がある程度できていることが大前提です。飛び込み営業やテレホンセールスなど、まったく情報のない、顔の見えない相手に対して営業をするタイプの仕事では、確率は大きく下がってくるでしょう。

たとえば、次のような数字になってくるはずです。

訪問成功率(30%)
×提案成功率(30%)
×クロージング成功率(50%)
=商談成功率4・5%

訪問に成功して担当者と話ができれば、次のステップに3割ぐらいの確率で進めるでしょう。商品提案が成功するのも3割ぐらい。そして最後のステップまでこぎつければ、50%くらいの確率で商談が成功する。

成功確率はわずかに5%。100回トライして5回の成功。ほとんどのトライアルは失敗に終わるわけです。いわば「335ファネル」です。それに比べればルートセールスの人たちは、恵まれた環境で仕事ができています。

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