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指示が常にあいまい…「数字で話せない」会社のお偉いさんたちの大問題

2019年04月05日 公開
2023年03月10日 更新

斎藤広達(シカゴ・コンサルティング代表取締役)

100の言葉より、1つの「数字」で示せ

以前、あるベンチャー社長が若い頃のエピソードを語った記事を読んでいて、「これぞまさに『数字で話す』だ」と感銘を受けたことがあります。

その方は若い頃、企業にコピー機を納入する営業マンをしていたのですが、いきなり飛び込みで訪問し、マニュアル通りのセールストークで売り込みをしてもなかなか成果が上がらなかったそうです。

そこで、やり方をがらっと変えたのです。まず、担当エリアの会社を1軒1軒回り、セールスは一切せず、使用中の事務機器メーカーとリース料、契約期間、1日のコピー枚数などを聞いて回ったそうです。そして、その数字を分析した上で再訪し、「コピー機を弊社のものに替えると、こんなに節約できます」と具体的な数字を示して営業するようにしたところ、面白いほど契約が取れた、というのです。

現在は価格を比較するサイトなども多いため、同じやり方でそううまくいくかどうかはわかりません。ただ、「コストがぐっと削減できますよ」といった感性的な言葉よりも、「〇〇万円削減できますよ」のほうが伝わるのは、言うまでもありません。

人はどんなに「いいですよ」「すごいですよ」と言われたところで、それが具体的にイメージできなければ心を動かされません。それが「100万円もコストダウンできますよ」「売上が20%上がりますよ」などと「数字」を使って語られた瞬間、頭の中で具体的なイメージが浮かび、心を動かされるのです。

 

コンサルタントが「数字」を覚え込まされる理由とは?

もう1つ、「数字で話す」ことの意外な効能があります。それは、「数字をスラスラ使って話すと、すごい人(=ちゃんと考えている人)と思われる」ということ。

コンサルタントは主要な数字を覚えるクセがついています。そのため、「御社の今年の売上は350億円でほぼ前年並み、営業利益は20億円ちょっとで前年比2割減、営業利益率で6%弱ぐらいですよね」といった感じで数字を混ぜ込みながら話すことができます。

特別なことはしていません。ファクト(事実)を数字で把握しているから、その数字が頭に残っているだけ。それでも「この人はこんなに自社のことを知っているのか」と思ってもらえたりします。

細かい数字まで覚え込む必要はありません。大事なのは、自分は数字を使って考えるコンサルタントだと相手に伝えること。駆け出しコンサル時代に、こうしたプロ意識を叩き込まれたものです。

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