2019年03月07日 公開
2023年03月10日 更新
ライニー 先ほど、時代は変わったという話がありましたが、なぜレガシー業界で戦う起業家が増えたと思いますか?
宮田 多分なんですけど、事例が増えたというのが大きいかなと思っています。「SmartHRを見て、うちの業界でもSaaSならいけると思って起業しました」という話をよく聞きます。スタートアップが出てきて、それをメディアが記事にして、それを見た大企業に勤めている人の中にスタートアップをやってみようという人が増えていく。
ライニー インスパイアされる。
宮田 良い循環が回っているのかな、という気がしています。
中尾 近しい意見になっちゃうかもしれないんですけど、いろんな業界の大手で頑張っている人たちの中には、その業界のことを知れば知るほど課題が見えてくるので、それを解決したらいいんじゃないかと思う人が一定数出てくるんですね。それを大手でやろうとするといろんな稟議を通さないといけない。例えば、「予算が3,000万円しか出ません」と言われたら、「だったら独立して、1億円や2億円集めてやったほうがいいかもしれない」と考える人が出てくる。あるいは、外に出たほうが世の中を変えやすいというケースも増えているように思います。
宮田 大企業の中で新規事業をやるよりも、スタートアップのほうがお金を集めやすくなっている。
ライニー そうですね。笹原さんはいかがですか?
笹原 僕はもともと弁護士をしていたので、士業の領域に限ったところで言うと、弁護士や税理士、社労士の中でも、アイデアがあって起業したいという人がすごく増えている印象があります。その理由としては、宮田さんと重なるんですが、事例が出てきたことだと思います。士業の中で起業して、メディアに取り上げられることも増え、認知されるようになってきた。「じゃあ、俺もこんな課題を解決できそうだからやってみよう」という人が増えてきたというのが現状でしょう。ただ、プロダクトのプロトタイプはたくさん出てきているんですけど、「そのあとどうするの?」というのが多くなっているのも現状かな、という気がしますね。
ライニー ありがとうござまいす。では最後に、レガシー業界で戦っている起業家として投資家に求めているサポートと、今後、Coral Capitalに期待していることをひと言、お願いします。どなたか?
笹原 では僕から。投資家の方々に期待することには、資金調達はもちろんのこと、営業支援と採用支援があります。Coralに対して期待することもこの2点に集約されていて、特に採用支援については、500(Startups Japan)の時代から合同採用イベントを開催していただいたり、タレントプールというか、候補者の共有・紹介をしていただいたりして、そこから責任者人材の採用につながったこともかなりあるので、引き続き、その辺りはこれからもぜひ強化していただければと思います。
中尾 レガシー業界の起業家としてのコメントではなくて、これまでジェームズ(・ライニー氏)や澤山(陽平)さんにいただいてきた価値を振り返りながら、期待することをお話ししたいと思います。
澤山さんはテクノロジーもファイナンスもわかるスペシャリストだし、ジェームズがすごいなと思うのは、ロジカルな部分もすごくあるのに、アートな部分で賭けに出ることもあることですね。「これは張るべきだ」というときのエネルギーがすさまじい。起業家として、投資家からエネルギーをもらえますし、「それだけ信用してくれているんだ」と、起業家と投資家という立場を超えた友情が芽生えるのを感じる瞬間もあります。それは、新しいファンドでも続く文化なのかなと思います。
業界の独特な部分も理解してもらって、「確かに数字を伸ばす時期じゃなくて、組織を作るべきだよね」とかいうことをわかったうえでディスカッションができて、「張るときには張るぜ」という、起業家目線の投資家集団であることに感謝していますし、これからもそうあることを期待しています。
ライニー ありがとうございます。照れますね。
宮田 僕からは二つあります。一つは、レガシー業界のスタートアップにもっと出資していってほしいなということです。というのは、我々みたいな汎用的なSaaSだと、連携したいサービスが多いんです。多分、Holmesさんとも一部、連携できるところがあって、そうすれば両方使っているお客さんが便利になったりすると思います。そういう連携できるパートナーを増やしていってほしいな、というのが一つです。
もう一つは、もっとどんどんアグレッシブにやっていってほしいと思っています。今がアグレッシブではないという意味ではなくて、すごくアグレッシブだと思っているんですけど。このタイミングで500ブランドを捨てるなんて、びっくりするじゃないですか。500やCoralは新しい風をどんどん吹き込んでくれるので、それで業界がより盛り上がってくれれば、我々としてもいい刺激になるし、楽しく働けるかなと思います。
更新:11月25日 00:05