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キャッシュフローを理解して不動産投資を成功させよう

2019年04月15日 公開
2023年03月07日 更新

稲垣浩之(税理士)

月々の収支は必ず自分で算出しよう

このように、不動産投資は魅力的な資産形成手段です。しかし前述の通り、そのニーズにつけこむ甘い話があることも事実。騙されないためには、お金の流れを常に把握しておくことです。

最初に(1)物件の値段、(2)借入条件、(3)自己資金の割合を確認しましょう。その上で、月々のキャッシュフローを計算。収入は家賃と敷金、支出は銀行への返済金と管理費と税金。その残額が「差引現金」つまり「稼ぎ」です。

この中でポイントとなるのが税金です。固定資産税以外の所得税や住民税の額は、「損益計算」によって算出できます。計算式は、「売上-費用」。これに税率をかけた額が税金となります。

「売上と費用」は、キャッシュフロー計算における「収入と支出」とは似て非なるもの。たとえば収入のうち、敷金収入は売上ではありません。支出においても、返済金のうち元金の返済については、費用には該当しません。この違いを抑えた上で、毎月の収支を確認し、記録しておくことが必須です。

 

物件を選ぶときは「借り手の視点」で

以上のような作業が必要になるものの、基本的に「買った後」の手間はわずか。そのぶん「買う前」に注意を払うべきです。全体の労力のうち購入前80%、購入後20%、といったイメージを持っておくとよいでしょう。

その80%とは、業者選びと物件選び。業者は必ず複数に当たり、むやみに甘い話を言わないか、数字的裏付けをこまめに示すかをチェックしましょう。

物件に関しては、駅から10分以内か、コンビニ・ドラッグストア・クリーニング店が近くにあるか、などをチェック。最近は築年数の経った物件をリノベーションする手法も人気を集めています。

いずれの場合も、自分の好みより「借り手にとって魅力的か」が大事。業者からターゲット層についてじっくり聞き、借り手の立場で考えましょう。

このようにきっちりと吟味すれば、失敗は防げます。着実な収入源として、将来の安心へとつなげられるでしょう。

 

<『THE21』2019年4月号より>

著者紹介

稲垣浩之(いながき・ひろゆき)

税理士

1964年、千葉県生まれ。99年、税理士登録。2002年、稲垣浩之税理士事務所を開業。「普通のサラリーマンが資産家になるためのコンサルティング」に特化し、不動産投資を中心にアドバイスを行い、これまで2,500人以上のサラリーマン大家や専業大家から相談を受けている。著書に『金持ち大家さんが買う物件 買わない物件』(双葉社)など。

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