2019年02月04日 公開
2023年03月10日 更新
――仮想通貨交換業の登録をしてトークンを発行するとなると、セキュリティも含めて、大きな投資が必要になると思います。それを上回る利益が得られるという見込みがあるわけですよね。
松田 そうです。トークンを発行することで得られる価値は、単純に1トークン=1米ドルだとしても、発行上限が4,700万トークンだと4,700万米ドル、約47億円になります。「ありがとう」が1米ドルの価値しかないということはなくて、僕は1万円の価値はあると思いますから、そうだとすると4,700億円にもなります。
セキュリティについては、パランティア・テクノロジーズという、世界でも有数のサイバーセキュリティ会社と業務提携を結んでいます。
――OK-チップ1トークンが何円なのかは、どうやって決めるのですか?
松田 ブロックチェーンは相対取引きなので、相手が100円だと思ったら100円になるし、1万円だと思ったら1万円になります。ですから、4,700万件の取引きすべてに1万円の価値があるわけではなくて、10円のものもあれば、1億円のものもあるでしょう。1トークンがいくらかは、その平均を取るしかありません。
――OK-チップを送るときに、「これは何円の価値のあるOK-チップです」と相手に言うのですか?
松田 それをやってしまうと野暮なので、あえて明かさない設計にしたいです。できれば、OK-チップを受け取ったときにアラートさえ鳴らないようにしたいとも思っています。1カ月経って見てみると、「知らないうちにすごく貯まっていた」となるようにしたいですね。
――現状では、OK-チップで賛同企業の優待を利用できるというのは、賛同企業の好意?
松田 ありがたいことに、その通りです。賛同企業は約50社あって、その中に、優待を提供していただいている企業もあれば、『OKWAVE GRATICA』を利用していただいている企業もあります。
――そもそもの話になりますが、松田社長が感謝経済を作りたいと思ったのは、なぜなのでしょうか?
松田 会長の兼元(謙任)らと一緒に構想したものですが、僕の場合は、もともと「お金がすべて」のファイナンスの世界にいて、それに嫌気が差したんです。お金では評価できないけれども、いいことをしている人はいっぱいいて、むしろそれが大多数なのに、資本主義の世界では、そういう人たちは搾取され続ける。そういう人たちを救うために寄付をするという方法もありますが、寄付してもらえる人はいいけれども、してもらえない人も出てきます。この難しい問題を解決するイノベーティブなものが、ブロックチェーンだと思ったのです。
――感謝経済は、世界に広げていくことを視野に入れているのですか?
松田 もちろんです。ただ、世界では、何がいいことで、何が悪いことなのかについての対立があります。そこで、宗教や文化ごとに、何がいいことなのかを評価するブロックチェーンのプラットフォームを作ることを考えています。
今、具体的に開発しているのは、マレーシア工科大学との産学連携プロジェクトで、シャリーア(コーランの教え)に基づいて、いいことか悪いことかを評価するものです。今年4月頃に発表できる見通しです。
これを東南アジアで使っていただくと、東南アジアのムスリム社会におけるいいことと悪いことが評価できるようになりますから、それをベースに感謝経済が作れるはずです。他の宗教や文化についても、それぞれ、いいことを評価するブロックチェーンを作っていきたいと思っています。
――誰かが善悪を判断するのではなく、そのブロックチェーンに参加する皆が判断するということですね。
松田 本当の民主主義が実現できるわけです。そうなれば、争いも少なくなると思います。
――感謝経済実現のロードマップは、どのように描いていますか?
松田 世界展開が2022年6月まで。そこから逆算すると、2020年には日本を席巻し、2021年にはアジア、アフリカ、南北アメリカを席巻していないといけません。「善は急げ」です。
更新:11月22日 00:05