THE21 » マネー » 人生100年時代の「持続可能性(サスティナビリティ)」のコツ

人生100年時代の「持続可能性(サスティナビリティ)」のコツ

2019年02月09日 公開
2023年03月10日 更新

<連載>10年後も生き残るために明日からできる仕事のコツ(4・最終回) 河野英太郎(グロービス経営大学院客員准教授)

河野英太郎

 

自己投資をケチると取り返しのつかないことに

 人生100年時代――。読者の皆さんも、100歳以上まで生きる可能性は十分にあります。

 その場合、気になるのは「お金」の問題です。

 60歳で定年退職したとしても、その先は40年もあります。年金が今よりも減ることを考えれば、40年間食べていくには、60歳以降も年金以外の収入を得ることが重要になってきます。

 食いっぱぐれないためには、「稼ぎ続けられる自分」になれるよう、現役時代から自分に投資をすることが大切です。

 60代でも70代でも稼ぐことができれば、年金が減額しようが、怖くない。仮にインフレが来て、貯金が目減りしたとしても、新たにお金を稼げれば、なんら問題はありません。

 ただ、今持っている経験やスキルだけでは、数十年後も稼ぎ続けるのは難しいでしょう。

 新たな経験を積んだり、スキルを身につけたりするためには、自分に対する投資が必要です。これをケチっていると、老後に取り返しのつかない差になって表れる、と私は考えています。

 最終回では、具体的にどんな自己投資をすべきかについて、お話ししましょう。

 

コツ1 3年ごとに環境を変える

 60代でも70代でも稼げる自分になるために、最も必要な自己投資とはなんでしょうか。

 私は、「3年ごとに、自分のいる環境を変えること」だと考えています。

 なぜなら、同じ環境に3年以上いると、「コンフォートゾーン」に入ってしまうからです。

 コンフォートゾーンとは、「自分にとって居心地の良い環境」のこと。職場で言えば、仕事に慣れて、ほとんどの仕事ができるようになり、上司や同僚とも気心が知れている状態です。

 こうした環境にいると、ノルマなどのプレッシャーはあっても、先行きが見えない不安感はなく、コンスタントに良い成績が出せるようになります。精神的にはかなりラクな状態です。

 しかし、人が最も成長するのは、居心地が悪く、不安やストレスのある「ストレッチゾーン」にいるとき。新たなチャレンジをして、そうした環境に身を置かないと、成長がストップしてしまいます。

 コンフォートゾーンにいると自覚したら、意識的に、自分の身をストレッチゾーンに置くチャレンジをしましょう。

 もっとも、環境を変えるといっても、転職しなければいけないわけではありません。社内で新規事業にチャレンジしたり、部署を異動したりするのもいいですし、社外で学習する機会を作るのもいいでしょう。副業を始めるのも一つの手です。

 

次のページ
コツ2 情報が早い人とつきあう >

著者紹介

河野英太郎(こうの・えいたろう)

日本アイ・ビー・エム部長/Eight Arrows代表取締役/グロービス経営大学院客員准教授

1973年、岐阜県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学水泳部主将。グロービス経営大学院修了(MBA)。〔株〕電通、アンダーセンコンサルティング〔株〕(現・アクセンチュア〔株〕)などを経て、日本アイ・ビー・エム〔株〕にて、コンサルティングサービス、人事部門、専務補佐、若手育成部門リーダー、サービス営業などを歴任。2017年に〔株〕Eight Arrowsを起業し、代表取締役に就任。著書に、ベストセラーとなった『99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ』『99%の人がしていない たった1%のリーダーのコツ』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

THE21 購入

2024年12月

THE21 2024年12月

発売日:2024年11月06日
価格(税込):780円

関連記事

編集部のおすすめ

経験が武器にならない時代の「上司・部下関係」のコツ

<連載>10年後も生き残るために明日からできる仕事のコツ(1) 河野英太郎(グロービス経営大学院客員准教授)

人手不足の時代に必須の「生産性アップ」のコツ

<連載>10年後も生き残るために明日からできる仕事のコツ(2) 河野英太郎(グロービス経営大学院客員准教授)

上司も答えを持てない時代の「問題解決」のコツ

<連載>10年後も生き残るために明日からできる仕事のコツ(3) 河野英太郎(グロービス経営大学院客員准教授)

<連載>10年後も生き残るために明日からできる仕事のコツ

河野英太郎(日本アイ・ビー・エム〔株〕部長/〔株〕Eight Arrows代表取締役/グロービス経営大学院客員准教授)