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上司も答えを持てない時代の「問題解決」のコツ

2019年01月10日 公開
2023年03月10日 更新

<連載>10年後も生き残るために明日からできる仕事のコツ(3) 河野英太郎(グロービス経営大学院客員准教授)

河野英太郎

 

経験が問題解決の役に立たなくなった

 この連載の最初に述べたように、今は「VUCA」の時代です。VUCAとは、

・変動性(Volatility)
・不確実性(Uncertainty)
・複雑性(Complexity)
・不透明性(Ambiguity)

 の頭文字を取った言葉です。

 このような環境下では、これまでの経験が必ずしも通用しません。ですから、経験の長い上司でも、仕事で生じる問題に対する答えを持てなくなりました。

 それどころか、どこに問題があるのかさえ、よくわからないことが少なくありません。問題解決の難易度が非常に高まっています。

 そこで今回は、難しい問題をスピーディに解決するためのコツについてお話ししましょう。

 

コツ1 「要するに」でシンプル化

 様々な要素が絡み合っていて、解決の糸口がわからない……。そんな複雑な問題を、複雑なまま考えていても、ますます混乱するだけです。できるだけシンプルに捉えることを意識しましょう。

 そうは言っても簡単なことではありませんが、私が常に心がけているのは、「要するに」「ひと言で言えば」などの言葉を使って、目の前の事象を単純化することです。これを口グセにするだけでも、ずいぶん違うと思います。

 また、クローズアップするのではなく、逆にズームアウトすることも、問題の本質を捉えるのに有効です。まったく別々に起こっているように見えていた問題が、一歩引いて俯瞰することによって、つながって見えることがあります。そのつながりから、問題の本質が浮かび上がってくるのです。

 

コツ2 若い人に上手に任せる

 もし、あなたが40代以上のマネージャークラスなら、20~30代の若手の力を活用して問題解決をすることをお勧めします。若手のほうが、情報感度が高く、今の時代に合った解決策をたくさん持っている可能性が高いからです。できる限り、若い部下に権限を委譲して、問題解決に当たってもらいましょう。

 ただし、権限委譲といっても、丸投げして、放っておけばいいわけではありません。若手の部下が仕事を進めやすいよう、上司がフォローすることが重要です。例えば、「何かあったら、いつでも気軽に相談して」と伝えておき、実際に相談してくれば、自分の仕事の手を止めて、一緒になって解決する手助けをしましょう。

 このとき、上から目線のアドバイスをすると、若手が寄りつかなくなります。伴走するイメージで相談に乗りましょう。

 他部署との調整のような、ポジションが必要な仕事は、上司が引き取ってあげましょう。上司が環境を作ってあげれば、のびのびと仕事をしてくれるはずです。

 

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著者紹介

河野英太郎(こうの・えいたろう)

日本アイ・ビー・エム部長/Eight Arrows代表取締役/グロービス経営大学院客員准教授

1973年、岐阜県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学水泳部主将。グロービス経営大学院修了(MBA)。〔株〕電通、アンダーセンコンサルティング〔株〕(現・アクセンチュア〔株〕)などを経て、日本アイ・ビー・エム〔株〕にて、コンサルティングサービス、人事部門、専務補佐、若手育成部門リーダー、サービス営業などを歴任。2017年に〔株〕Eight Arrowsを起業し、代表取締役に就任。著書に、ベストセラーとなった『99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ』『99%の人がしていない たった1%のリーダーのコツ』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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