2019年01月24日 公開
『非常識な成功法則』『2022-これから10年、活躍できる人の条件』など数々のベストセラーを輩出し、「日本のトップマーケター」にも選出されたカリスマ経営コンサルタント・神田昌典氏。
その神田氏が、コンサルタント活動20年目の集大成として満を持して送り出すのが、最新刊『インパクトカンパニー』だ。成熟業界、衰退業種の中小企業であっても、「インパクトカンパニー」となることで復活し、世界を目指すことも可能になる。
では、そもそも「インパクトカンパニー」とはどういう企業なのか。その代表例ともいうべき「世界的プラットフォームを作り上げた地方企業」の事例を、新著から抜粋してお届けする。
自社を「規模は小さくても確実に収益を上げ、しかも世界も視野に入れる」インパクトカンパニーへと導いていくためには、現在のビジネスモデルの見直しが不可欠となる。
具体的には、人口減が続く日本国内の市場を超えた発想をすることが一つ。さらには、「売上が上がれば上がるほど忙しくなる」という従来のビジネスの仕組みからの脱却が必要となってくる。
その一つの答えが、人々が一同に集う「場所」をウェブ上に作り、そこで「何らかの価値を必要とする人」と「その価値を提供できる人」をマッチングするという「プラットフォーム事業化」だ。エアビーアンドビー(Airbnb)やウーバー、メルカリなどがその代表である。
こうしたビジネスにおいては、一度利用者たちを集めることができれば、あとは利用者たちが勝手に価値を作り上げていってくれる。また、プラットフォーム内での取引が増えても、自社の商品や業務が大きく増えることが比較的少ないために、「売れば売るほど忙しくなる」という状況から逃れることもできる。
ただ、「そんなことができるのは資本力のある大企業か、勢いのあるベンチャーだけでは?」と考える人も多いだろう。
そんな人にぜひ知ってもらいたい企業がある。地方の中小企業、しかも「成熟産業」と呼ばれる業界に身を置きながら、見事に世界的なプラットフォーマーへと生まれ変わった企業。それが、石川県金沢市・東蚊爪町に本社を構える会宝産業だ。
1969年の創業当時からこの会社が一貫して行ってきたのは、廃車を解体し、部品を販売する自動車リサイクル業だ。創業当初は「解体屋」と呼ばれることもあったというが、今では世界86カ国に広がる自動車部品リサイクルのプラットフォームを持つ、グローバルリーダー企業へと進化した。
会宝産業が作り上げたプラットフォームは「KRAシステム」という。これは中古部品の在庫管理データベースシステムを核に、在庫はもちろん、部品の状況や販売状況まで一元管理するものだ。
このプラットフォームを利用すれば、自動車のリサイクル業者や整備工場は、世界中に散らばる自動車部品の在庫を把握することができ、適正価格で取引することができる。面倒な手続きは、会宝産業が請け負うという仕組みにした。利用者にとっては、非常にメリットのあるシステムだ。現在では、世界中のリサイクル業者と自動車修理工場にて利用されている。
会宝産業は、社員75名ほどの小さなローカル企業だ。いかにして、そこまでのプラットフォームを作り上げることができたのか。
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更新:11月22日 00:05