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ちょっとした言い方の差で印象がガラリと変わる「ビジネス英会話」

2019年02月26日 公開
2023年03月10日 更新

竹村和浩(ユニバーサル・エデュケーション代表取締役CEO)

 

「商談」&「食事会」のときの会話のポイント

商談のポイント①
「From your comments
(お話からすると)

「いい人」と「悪い人」のチームで交渉するテクニック

 英語圏にはいくつもの交渉術の定石があります。その一つが値段交渉などでよく使われる「good guy bad guy」。「いい人」と「悪い人」の役割を決め、チームで交渉するテクニックです。

 例えば、「From your comments, I get an impression that you are not fully behind this deal.(お話からすると、取引きする気がないわけではないのですね?)」などと、「from your comments」を用いて、相手の言ったことをネタに、ある意味強引に言いがかりをつけます。

日本人にはあまり馴染みがありませんが、欧米では古典的な交渉術。交渉の主導権を引き寄せるために交渉の序盤で「悪い人役」の人が畳みかけてきますが、揺さぶられないよう毅然とした態度を保つこと。もしこの交渉術を使う場合は、入念な事前打ち合わせと演技力が必須です。

 

商談のポイント②
「What other suppliers have presented
(他の業者さんが示した内訳)

他に交渉相手がいることを匂わせて譲歩を引き出す

 他にも安くしてくれるクライアントがいるということを匂わせて交渉をするBATNA(Best Alternative to a Negotiated Agreement=合意できなかったときの最善策)という交渉術。

 例えば、「That breakdown seems similar to what other suppliers have presented.(他の業者さんが示した内訳と似たようなものですね)」などと、さりげなく交渉相手が複数あることを示し、相手側の譲歩を引き出そうとします。そして、相手が動揺したら「The thing is, I don’t actually have any choice in the matter.(この件に関しては、私には選択の余地はないのです)」などと続け、相手の決断を促します。もし相手が他社の安さを匂わせてきたら、価格以外の自社の特長を主張し切り返しを。事前準備さえすれば、日本人にも比較的使いやすい交渉術です。

 

食事会のポイント
「I'm Buddhist.」
(仏教徒です)

無宗教と答えるのは世界的に見てNG!?

 ホームパーティなど食事の席に呼ばれたとき、「What is your religion?(あなたの宗教はなんですか?)」と聞かれることがあります。一般的に、外国人と話すときに宗教と政治の話はタブーと言われるのに、なぜ宗教のことを聞かれるのかというと、食べられないものを確認するためです。

 このとき、日本人は「I have no religion.」と答えがちですが、実は外国人はこの返答にあまり良い印象を受けません。日本以外の国では、宗教とはすなわち道徳。キリスト教にもイスラム教にも戒律があり、それを守ることが倫理の基盤となっています。そうした人々に「無宗教だ」と言うのは「私には道徳心がありません」と言うのと同じなのです。実のところ、日本は宗教に頼らなくても道徳を確立しているのですが、それを外国人に理解してもらうのは少々難解。

 そこで、一番無難な答えは「I’m Buddhist.」。年1 回お墓参りに行っているのであれば、あまり深く考えずに仏教徒と言ってください。これに「But I’m not so practical.(でも、それほど熱心ではありません)」と言い添えれば、それ以上深く聞かれることはありません。

≪『THE21』2019年2月号≫
≪取材・構成:林 加愛≫

著者紹介

竹村和浩(たけむら・かずひろ)

[株]ユニバーサル・エデュケーション代表取締役CEO

1961 年、石川県生まれ。立教大学卒業後、東京都立高校英語教諭、[株]公文教育研究会を経て、1995 年にTLL言語研究所を設立。「発音の学校」を主宰、独自の英語音声指導法のもと日本人の英語力向上を図る。企業顧問として国際化に向けた戦略策定にも従事。著書に、『世界基準のビジネス英会話』(三修社)、『マンガで体得 ビジネス英語によろしく』(DHC)など。All Aboutビジネス英会話ガイド

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