「アイデアが浮かばない」「覚えたことをすぐに忘れてしまう」――。これらは、「脳の使い方」が関連する悩みだ。しかし、本の読み方を少し変えるだけで、これらの苦手を克服できる。それどころか、理想のアタマを手に入れることができる。そう指摘するのは、難読症を克服し、今や多くの書籍を上梓する脳科学者の加藤俊徳氏だ。一体、どう読めばいいのか。その方法をうかがった。
学生時代、私は国語や英語が苦手でした。活字を読んでも、情報が頭の中に入ってこない「難読症」だったのです。
それを克服しようと、色々と工夫しました。音読をしてみたり、神保町に住んで本にまみれた生活を送ってみたり……。
でも、どれもうまくいきませんでした。自分の脳に合った読み方ではなかったからです。それもそのはず、私は音と言語を司る脳の働きが弱かったのです。
ただ、なぜか昔から短歌や詩はすんなりと理解できました。その理由を考えたところ、文章が短いために、頭の中で何度も反はん芻すうし、考えられるからだとわかりました。
つまり、脳には特性があり、理解の仕方は人によって違うのです。これがわかって以来、本の読み方が変わりました。
私の場合、内容を短く再構成したほうが理解しやすい。そのため、まず文章のエッセンスやキーワードを見つけ出し、そこから徐々に理解する読み方に変えました。苦手なジャンルの本で脳番地を刺激しよう
本を読んで理解する方法が人によって違うのは、発達した脳の部位がそれぞれ異なるからです。例えば、音読を通じて理解することが得意な人は、聴覚系の部位が発達しています。
脳の部位は八つに分けることができ、私はそれぞれを「脳番地」と呼んでいます。左のチェックリストで、自分の発達した脳の部位を調べてみてください。
まずは、発達した脳番地を知り、自分に適した理解の仕方を習得しましょう。
その感覚を身につけたら、次はあえて自分が読みにくいと感じるジャンルの本に挑戦してください。読みにくい本を理解しようとすることで、普段使われていない脳番地を刺激できるのです。これにより、まんべんなく脳を鍛えることができます。
特に、40代はそうすべき。仕事もプライベートもマンネリになりがちで、脳の使い方が固定化されているからです。
私が、大人になってから難読症を克服したように、脳は何歳からでも変えられます。そのきっかけとして、次ページから紹介する脳番地別「脳トレ読書」を参考に、本の読み方を変えてみてください。
更新:11月23日 00:05