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住まいにこだわる人こそ、リフォームを!

2018年12月12日 公開
2023年03月14日 更新

佐川旭(佐川旭建築事務所代表)

10年後まで見越したプランを立てよう

大規模なリフォームであるリノベーションや、自然災害に対応した改築など、リフォームは日々進化している。今、どんなリフォームが求められているのか。住まいに関する情報発信を積極的に行なう一級建築士の佐川旭氏に、最新のリフォーム事情についてうかがった。<取材・構成=塚田有香>

 

「品確法」を契機に中古住宅が注目!

日本の住宅市場では、中古住宅よりも新築住宅が好まれる傾向が長く続いてきました。米国では市場に流通する住宅の9割近くが中古住宅であるのに対し、日本では現在も15%ほどに留まっています。

しかし最近は、中古物件が見直されています。転機となったのが、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称・品確法)」です。これにより、構造の安定や災害時の安全などの住宅性能を購入者にわかりやすく表示することが定められたため、基礎や柱などの躯体がしっかりした耐震性の高い住宅が多く建築されるようになりました。

そして法律の施行から18 年経った今、当時新築された住宅がそろそろ中古市場に出始めています。品確法の施行以降に建築された住宅は躯体が丈夫なので、あとは内装や設備をリフォームするだけで、長く快適に暮らすことができます。

もちろん、それ以前に建築された住宅でも、リフォームで耐震補強すれば安全に住むことは十分可能です。 中古住宅を手に入れてリフォームするには、耐震性が高く品質の高い物件の流通が増え始めたこれからが良いタイミングと言えるでしょう。

 かつて日本の住宅は「ウサギ小屋」と呼ばれ、〝安かろう悪かろう〟の住宅を大量生産してきた時代がありました。量ばかり増やして質を高めてこなかったため、中古市場にも質の低い住宅しか流通せず、人々も中古より新築を選ばざるを得なかったという事情があります。

それがようやく、中古住宅の品質や性能が上がり、リフォームへの関心も高まってきました。今後もこの傾向は続くと考えられます。

 

自分で好きなようにデザインできる楽しさ

リフォームのメリットは、そこに住んだときのイメージを具体的に描けることです。

新築の場合はまったく新しい空間をゼロから作り上げるので、「自分がそこで暮らすと、何が起こるか」想像つかないところがあります 。例えば、見た目が格好いいからと吹き抜けを作ったところ、実際に住んでみたら夏は開放的で気持ちが良いのですが、冬は足元が寒く落ち着かないといったことも考えられます 。

しかし中古の場合、すでに住宅があるので、「ここからどうやって生活の質を上げていくか」という視点が入ります。これまで自分たち家族が暮らしてきた経験をもとに、「浴室が小さめなので、足が伸ばせるお風呂にしたい」「ここに家具を置きたいので、空間をあと20cm広げて欲しい」など、これからの暮らしを具体的にイメージしながら間取りや設備を作っていくことができるのです。

 

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著者紹介

佐川旭(さがわ・あきら)

佐川旭建築研究所代表/一級建築士

1951年、福島県生まれ。日本大学工学部建築学科卒業。「つたえる」「つなぐ」をテーマに、個人住宅から公共建築まで幅広い実績を持つ。設計監理をした紫波町立星山小学校(岩手県)が、2010年第13回木材活用コンクール特別賞、うるおいのある教育施設賞(文科省)を受賞。著書に、『住まいの思考図鑑』(エクスナレッジ)、『最高の住まいをつくる「リフォーム」の教科書』(PHP研究所)などがある。

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