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「世界史」を知ることで 今の国際情勢が理解できる

2018年07月12日 公開
2022年03月02日 更新

茂木誠(駿台予備学校世界史科講師)

日本はTPPのリーダーになるべき!?

 以上を踏まえ、今後の世界を予測してみると、アメリカの支配圏は北米に留まり、西ヨーロッパではドイツ、ユーラシアではロシアが覇権を握るようになるでしょう。南米はブラジルの混乱で先行き不透明です。

 一番不安定なのは中東です。シーア派のイランとスンニ派のサウジアラビアが、ペルシャ湾の油田を挟んで緊張状態にあります。両国が核開発に本腰を入れれば、局地紛争の危険があります。一方、東アジアの掌握を目指すのは中国。南アジアや東南アジアに着々と手を伸ばしています。

 では、日本の立ち位置はどうなるのか。ここで鍵を握るのが日本です。ポイントはTPP。アメリカの離脱後、日本がこの機構の主導権を握りました。少々過激かもしれませんが、TPPを軍事協力に発展させ、「アジア版NATO」を作ることも可能です。これにより日本は、アジアで存在感を示すことができます。アメリカの庇護を当てにできないなら、こうした選択も視野に入ってくるでしょう。

 このように、近代史を学び直すことで現在の国際情勢を深く理解できます。各国の成り立ちや建国の主要人物の思想まで遡ってポジショニングをしてみれば、世界を捉える軸はより明確になるでしょう。

 

『THE21』2018年7月号より

取材構成 林 加愛

著者紹介

茂木誠(もぎ・まこと)

世界史講師

東京都出身。駿台予備学校、ネット配信のN予備校にて、東大・一橋大など国公立志望者向けの世界史講座を担当する。歴史上の人物が憑依したかのようなドラマチックな講義スタイルで、学生からの支持も厚い。各種受験参考書に加え、『ジオ・ヒストリア』(笠間書院)、『「日本人とは何か」がわかる日本思想史マトリックス』(PHP研究所)など著書多数。近年はYouTube「もぎせかチャンネル」にも注力する。

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