2018年05月25日 公開
2023年05月17日 更新
たとえば、あなたが商品本部の担当者で、ある商品の全国の販売実績をとりまとめる責任者だとします。全国の営業担当者に自分の担当する商品をたくさん売ってもらうことを考えなければなりません。
そのときに、その商品が「高利益率」「機能・デザインが優れている」「この商品の売上金額が営業担当者自身の評価につながる」という理由を挙げて、「この3つの要素があるのだから、あなたは売ってあたりまえです。売れていないのは努力が足りないからではないですか。先月よりも今月の行動量が減っていませんか? この商品を拡販すればそれだけ評価も高まります。売らない理由がないはずです」と言ったとします。
こんなふうに論理的に相手を言いこめると、どうなるでしょうか。
きっと、相手は動かないでしょう。
仕事でも家庭でも論理的に正しければ、みんなが納得するというわけではありません。感情的にも受け入れることができなければ、物事は動きません。
論理的に話す力は大切ですが、日常生活の中で相手を動かすには、それだけでは足りないのです。
「話し方の改善」というと、アナウンサーやボイストレーナーのように、発声法や滑舌をよくするということをイメージされる人もいるでしょう。たしかに、魅力的な声で、滑舌よく話すことができたらそれは素晴らしいことです。
ただし、声がよければコミュニケーションが円滑にいくかといえば、必ずしもそうでもありません。昔から「巧言令色(こうげんれいしょく)鮮(すく)なし仁(じん)」といわれて、口が達者な人は信用ならないという見方もあるくらいです。
声だってよいに越したことはありませんが、そもそもどんな声をよいとするのか、どんな声が好きかは人それぞれです。どんな声だって個性的で魅力的なものです。私は色々な人の声に魅力を感じます。何がよいとも悪いとも思いません。好きだなあと思う声がいくつもあるだけのことです。
滑舌をよくしよう、声をよくしようと努力することは大いに結構ですが、それだけで、コミュニケーションが円滑になるというわけではありません。
言いにくいことをズバズバ言っても、なぜか好感を持たれる人、相手にとって耳の痛いことをずけずけ言っても嫌われない人というのは、必ずしも言葉遣いが巧みだとか、論理的だとか、声がよいというわけではありません。
では「言いにくいこと」をハッキリ伝えても、なぜか好かれる人の話し方は、何が違うのでしょうか。
答えを言ってしまうと、なぜか好かれる人の話し方で、もっとも重要なこと、それは「気分」のコントロールです。
とはいえ、「気分」のコントロールと言われてもピンとこないかもしれませんね。
「なぜ気分が大切なのか」それを次回、連載第2回でお伝えします。楽しみにお待ちください!
更新:11月22日 00:05