2018年05月25日 公開
2023年05月17日 更新
「言いにくいことを言えない」でいるうちに、すれ違いが始まり、誤解を生み、関係がぎくしゃくしてしまいます。そして他力として利用できるはずだった「人」が、今度は逆に「障壁」になってしまうのです。
「言いにくいこと」を伝えられる、しかも、嫌われず、好かれてしまう。そんな話し方ができたら良いですね。
では、周りを見回してみてください。言いにくいことを言っているはずなのに、少しも嫌われず、それどころか好感を持たれている人がいないでしょうか。
自分だったら、断り切れない誘いをいとも簡単に断っている人。
自分だったら言いにくい頼み事でも平気で頼み、頼まれたほうも喜んでその依頼を引き受けてくれているという人。
逆に、簡単な頼み事も嫌がられてしまう人もいないでしょうか。
理屈は正しいのに、みんなから煙たがられて協力を得られにくい人。
頭の回転が速く、優秀なのはわかるけれど、人望がない人。
言いにくいことを伝えて、なぜか好かれる人、嫌われる人――こうした違いは、どこから生まれるのでしょうか。その違いについてこれからお話していきたいと思います。
連載第1回目は「話し方」と「人間関係」について、多くの方が誤解している3つのことにお伝えします。
話し方が人間関係を改善するというのはその通りです。
話し方について、世の中には様々なアドバイスがあります。それらの中には「ものの言い方」、つまり、どのような言葉を使うかに着目しているものもあります。言葉を変えることで、コミュニケーションがうまくいくと説いているのです。
「お疲れさま。最近遅くまで頑張ってるね。今、忙しいよね? そうだよねえ。そんなあなたに本当に申し訳ないんだけど、ちょっとだけ聞いてくれる? いいかな? 実は、この件はあなたしか頼れる人がいなくてさ。もしもやってくれたらうれしいんだけど、お願いできるかな? できれば明日の午後イチまでにやってもらえたら助かるんだけど」
急ぎの仕事をお願いするときに、相手の自尊心に訴えかける伝え方をしています。かなり気を使っていて、相手が忙しいことについても理解を示しています。
伝え方としては合格点ではないでしょうか。
しかし、このセリフを、暗い表情をして、イライラしながら、相手の目も見ずに伝えたらどうでしょうか。「頼れるのはあなただけ」という言葉もむなしく、イライラしながら他のことを考えている様子で目も合わせないので、言われた相手も尊重されている気がしません。
これでは、せっかくのセリフが台無しなのです。
この例は、極端かもしれません。しかし、言いにくいことを言うときに、とても言いにくそうに言う人がいませんか。
「大変申し上げにくいことなのですが……」
泣き顔みたいに顔をゆがめて、もじもじしながら、怒られるのを恐れているような様子です。言われた相手は、「そんなに言いにくいということは、よほど大変なことがあるのだろう」と身構えるかもしれません。
お願いするほうは、すんなり受け入れてほしいと思っているのに、わざわざ受け入れにくい気分を相手の中につくり出してしまっていることに気づいていません。これは多くの人が、無意識のうちにやってしまっていることです。
更新:11月22日 00:05