2018年08月02日 公開
2023年03月14日 更新
関氏が「最も効率の良い英語学習法」として勧めるのが、「単語力」→「文法・リーディング力」→「リスニング力」→「ライティング・スピーキング力」の順番で勉強すること。ただし、これは四技能すべてを学ぶ場合で、実際は「単語力」と「文法・リーディング力」をつけた後、自分が絞り込んだ四技能のいずれかに飛んでいい。「話す」に絞った人なら、「文法・リーディング力」の後は「リスニング力」を飛ばして、「スピーキング力」に移ってよいということだ。
最初に単語と文法を学ぶのは、この2つが英語力の土台になるから。たとえるなら単語は「筋力」、文法は「持久力」。どのスポーツをやるにしても、まずはこの基礎体力が必要だ。
なお、「リーディング力」は文法と同じ第2段階に入っているが、これは「単語+文法」を勉強すれば結果的に読む力が鍛えられるから。他の技能に絞った人がリーディング力を極める必要はないが、最低限の単語と文法をマスターして、読んで理解する力は誰にとっても不可欠となる。
第1段階の「単語力」を鍛える目安として、関氏は「1カ月で1,000語覚える」を推奨している。1,000語をマスターすれば、英文をパッと見た時や英語で話しかけられたときに「わかる!」という実感が得られるレベルになり、英語のスキルとモチベーションが一気に高まるからだ。
「1,000語なんて無理」と思うかもしれないが、多くの人が単語を覚えられない原因は、「単語に目を通す回数が少ない」というだけ。関氏によれば、1カ月に6回、同じ単語に目を通せば、確実に単語力はアップするという。
具体的なやり方としては、うろ覚えでいいので「1日200語」に目を通す。すると5日間で1,000語に目を通せるので、6日目からはまた最初に戻って1番目の単語からひたすら覚える。この「1日200語×5日」を6セット繰り返せば、30日間で同じ単語に6回ずつ目を通せるので、驚くほど単語が覚えられる。1日200語に目を通すには2時間はかかるが、最初の一カ月だけ頑張れば、その後は単語で困ることはほとんどないはずだ。
第2段階で英文法の学習をすべきなのは、4技能のどれを学ぶにしても、先に英語のルールを知ったほうが学習スピードは圧倒的に速くなるから。しかも子供や学生にはない「論理的思考力」という大人のビジネスパーソンならではの強みを最大限に生かせる。英語の理論を理解できる大人は、原則となるシンプルなルールさえ頭に入れれば、時間をかけてたくさんの用法や用例を丸暗記しなくても英文の意味を理解できるようになる。
リーディング力を鍛えるには「単語の瞬発力(0.1秒で意味が浮かぶ)」「英文解釈力(文の構造を正しく把握できる)」「音読力(そのまま英文を理解できる)」の3つの力が必要。これらを同時に鍛えるには、きちんと解釈して理解した英文を最低30回、できれば50回ずつ音読する。数回読んだだけでは、いちいち日本語に置き換えないと意味が理解できないが、何十回も繰り返し同じ英文に触れることで、英語を英語のまま処理できるようになる。
リスニングができない最大の原因は、「聞こえない」のではなく「知らない」こと。英語の発音には「強形」と「弱形」があり、普段の会話では弱形を使うことが多いにもかかわらず、大半の日本人はそもそも弱形の存在を知らない。弱形の場合、「and」は「アンド」ではなく「ン」と聞こえるし、「for」は「フォー」ではなく「フ」と聞こえる。つまり「“アンド”が聞き取れなかった」と思っても、実は最初からそう言っていないことが多いということ。よって、まずは「正しい音」を知れば、聞く力は短期間で劇的に上がるはずだ。
英作文の学習法といえば例文の丸暗記が主流だが、もっと効率的な方法がある。それは「子供に説明する」という発想で英文を書くこと。これはスピーキングでも効果を発揮する。
ライティングもスピーキングも、最終的には自分の言いたいことが伝わればOK。よって、難しい言葉や言い回しをわざわざ使う必要はない。たとえば「それの締切は今日です」を英語にするとき、子供に説明するつもりで易しく言い換えれば「今日、やらないといけない」となる。これならすぐ「You have to finish it today」という英文が出てくるだろう。言いたいことをいきなり英訳するのではなく、子供が目の前にいるつもりで簡単な言い方にいったん和訳するのが英文作成のコツだ。
《『THE21』2018年7月号より》
更新:11月22日 00:05