2018年05月19日 公開
2023年03月16日 更新
相続によるトラブルは多々ありますが、とくに多いのがこの「不動産」が原因になるケースです。たとえば、親が残した資産が「実家の不動産」しかない場合。残された兄弟間で分割しようにも、家を切り分けるわけにはいきません。たとえば、兄弟のうち誰かがその家を引き継いで住むのなら、その人が住宅の評価額のうち各相続人の取り分を現金で渡す、といった解決策を取ることになります。
もし、誰も住む人がいない、あるいは家を引き継ぐ人が相応の現金が用意できないのなら、不動産は売却するしかなくなります。ただし、すぐに売れるとは限りません。
ちなみに、自宅を同居する親族が相続するなどのケースでは、「小規模宅地等の特例」を受けることができます。この特例を適用すると、敷地の評価額が最大8割少なく見積もられます。自宅用敷地の場合330㎡、貸付事業用宅地が200㎡までと制限はありますが、これによって相続税が不要になる、あるいは大幅に減額されることは多いでしょう。
ただ、相続税の申告提出期限は、相続開始の日の翌日から10カ月以内です。もし、もめ事が起こりこの期日までに分割ができない場合は、小規模宅地等の特例を受けることができないのです。10カ月というと長いようで、実際にはあっという間です(「申告期限後三年以内の分割見込書」を出すなどの救済措置はあります)。
相続対策、あるいは節税対策にはいろいろな手段がありますが、最も有効なものの一つが「生前贈与」です。
親の生前に息子が多額の現金をもらうようなケース、つまり相続人が被相続人から生前に多額のお金をもらった場合、相続人は本来、そのぶんの「贈与税」を支払う必要があります。ただし、その額が年間110万円以内であれば控除範囲内となり、税金を払う必要がないのです。
これを10年続ければ1100万円。かなりの額になります。前述のように自宅の不動産の分割でもめそうだとわかっていれば、事前にこの方法で現金を残しておくことも可能です。
ただし、この方法を取る親は稀です。いくら年齢を重ねても、いざというときに備えて自分の手元にお金を残しておきたいと思うものだからです。ちなみに、子供の名義で口座を作ってそこにお金を入れ、いざというときは親が自分で引き出す、という方法は、税務署から「口座を管理しているのが誰か」が厳しく問われるので、用いるのは難しくなっています。
更新:11月22日 00:05