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人生100年時代の「ライフシフター」的仕事術

2018年03月13日 公開
2018年03月13日 更新

小暮真久(TABLE FOR TWO International代表)

 

「聞きだす力」がイノベーションを生む

 小暮氏は近著『人生100年時代の新しい働き方』の中で、ライフシフターに共通する「5つの力」を挙げている。小さな気づきからアイデアを生む「見いだす力」、未知の環境でも危機を回避する「嗅ぎとる力」、チームや人を動かす「つかむ力」などだ。中でも40代の中間管理職世代にぜひ磨いてほしいのが、「聞きだす力」だと話す。

「相手に共感しながら本音を引きだしたり、適切な質問をして情報を深掘りするスキルは、多くの日本人が苦手としています。一方、欧米の人たちはこれらのスキルが非常に高い。聞き役に徹しつつ、『Amazing!』『Good!』と褒め言葉を挟みながら相手の考えを引きだす様子には、いつも感心します。

 聞くスキルが弱いと何が問題かといえば、新しい情報が入ってこないこと。相手の話を聞かず、『それは俺の考えとは違う』と一蹴してしまったら、周囲から『あの人には何も話したくない』と思われて当然です。

 これからの時代にイノベーションを生みだすには、若い人のクリエイティブなアイデアやセンスが不可欠。そのためにも、上の世代は自分と異なる意見に耳を傾ける力が求められます」

 異なる世代が互いの力を引きだし、協力し合う組織が増えれば、日本のビジネスは面白くなると小暮氏は期待する。

「若い人は発想力や企画力には優れていても、それを事業化するために必要な経営的視点や社会的信用が不足している。そこで、日本のビジネスシーンで求められるスキルや経験を身につけたベテランが若者の弱みをサポートすれば、実現する可能性は格段に高まります。

 さまざまな得意分野を持つ人を集め、一つの事業やプロジェクトを組み立てるのが、今の働き方の主流モデル。管理職やリーダーだからといって自分一人ですべてをやろうとせず、周囲の人たちの強みを上手に引きだす力とマインドが、今後ますます重要になるはずです」

≪『THE21』2018年3月号より≫
≪取材・構成:塚田有香 写真撮影:吉田朱里≫

著者紹介

小暮真久(こぐれ・まさひさ)

TABLE FOR TWO International 代表

1972年、東京都生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、オーストラリアのスインバン工科大で人工心臓の研究を行なう。99年、修士号取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社に入社し、幅広い業界のプロジェクトに従事。2005年、松竹入社、事業開発を担当。経済学者ジェフリー・サックスとの出会いに感銘を受け「TABLE FOR TWO」プロジェクトに参画。07年、NPO法人TABLE FOR TWO Internationalを創設。著書に『20代からはじめる社会貢献』(PHP新書)、『人生100年時代の新しい働き方』(ダイヤモンド社)など。

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