2018年04月11日 公開
2023年03月23日 更新
どうやって? 「脈絡がない人」の話し方から学ぶ
論理的思考力を鍛える方法はいろいろですが、簡単かつ効果的な方法があります。それは、「論理的でない人の話し方に注目する」こと。具体的には、「話に脈絡がない人」の話し方を観察するのです。論理的でない人は「自分では気づいていない」ことが多く、逆にそれは他者からはよく見えるからです。それを我が身に置き換えてみることです。たとえば、「今日は大雨だったので、昼ご飯はカレーだった」と言われたとします。こういう人の話は一見つながっていないようで、多くの場合、そこに「隠れた前提」があるもの。たとえば「大雨のせいで外食できなかったから、ビル内で販売されているカレーを食べた」のではないか、などと推測してみるのです。こういうクセをつけておけば、論理的思考力を高めるトレーニングになるとともに、人に伝える際にもよりわかりやすい表現で伝えることができるはずです。
Lesson 5「why」を意識する
どうやって? 上司になったつもりで考えてみる
「なぜ」は自分の頭で考える重要なキーワード。あらゆる物事に対して「なぜ」と自問することで、思考を深められます。その際のコツは、「上位目的」を考えること。たとえば上司に、「この資料をもっと薄く」と指示されたが、翌日には「もっと厚く」と言われたとします。そんなときは、「なぜあえて矛盾した指示をしたのか」と「上位の目的」を考えてみます。すると、上司の意図はあくまで「わかりやすい資料」を作ることであり、文章の要点を絞ることで「薄く」するとともに、わかりやすい図解を増やして「厚く」してほしいという指示ではないのか、という仮説が成り立ちます。実際に上司に確認することで、指示の方向性がより明確になるでしょう。
Lesson 6 抽象化して考える
どうやって? 出来事同士の「共通点」を見つけ出す
具体的な事例から何らかの法則を取り出す、いわゆる「抽象化」は、ビジネスマンにとって非常に重要な能力です。抽象化とはすなわち、別々の物事の共通点を見つけ出すということ。この能力を伸ばすには、日頃からあらゆる物事の「共通点」を意識することです。たとえば、よく飲食店厨房で、若手の店員が店主にお客に聞こえるような声で怒られているところを目にします。店主は「そんな態度ではお客様が不愉快だ」とでも言っているんでしょうが、お客にとっては店主の態度のほうがよほど不愉快です。そういう経験が、先日に見た、街中で親が子供を「そんなに騒いだら他の人に迷惑でしょ」と大声で0 0 0 叱りつけ、よほどその声のほうがうるさかったと感じた記憶と結びつきました。このように、さまざまな事象から共通点や似た構図を見つけ出す練習をしておきましょう。
Lesson 7 具体化を意識する
どうやって? 似た構図をストックしておく
さて、別々の事例から共通する要素を見つけ出すことができたら、今度はそれを具体化して、別の場面に応用することが求められます。まずは、先ほどのような例を数多くストックしておくこと。すると、日常で同じような事象が起きたときに、「あの時の出来事と共通している」と気づくことができます。そして、その事例を挙げながら「注意する際は人前から離れてそっと注意すればいい」という解決策を提案すればいいのです。このように、抽象と具体は2つで1つの思考法。抽象的思考と具体的思考を往復することで、思考力はどんどん深まっていき、解決できる課題はどんどん増えていくでしょう。
取材構成 吉川ゆこ
『THE21』2018年2月号
更新:11月22日 00:05