2017年12月01日 公開
2017年12月04日 更新
たぶん、前にも書いたのだけれど、本屋が好き。
好きなジャンルの本を見るのも好きだけれど、興味のなかった分野やそれまでに手に取ったことのないジャンルの本に出合えるのも楽しい。
その小さな空間の中に、何倍もの未知の世界が詰まっていて、とくに初めての本屋を訪れるときの高揚感は格別だ。
そこに行くだけで何倍にも世界が広がる可能性を秘めていて、こんなに楽しい場所はないと常々思っている。
とくに海外の本屋は面白い。
もちろん何が書いてあるかわからないことのほうが多いのだけれど、日本にはないような装丁の本や、見たこともない作りの本が並んでいるのを見るだけでも楽しくなってくる。
そんなわけで、海外に行くと本屋巡りをするのが趣味なのだが、最近、「韓国の本屋っていいな~」と思っているときに出合ったのがこの本だった。
本書は、ブックコーディネーターの内沼晋太郎氏らが、韓国・ソウルにある小さな書店や出版社などを取材してまとめた1冊。
韓国は、日本よりもネット社会がはるかに進んでいて、オンラインショップで注文したり、デジタルで本を読むことが当たり前のようになっている。
それもあって街の本屋が次々と閉店していったのが10年ほど前という。
そんな中、近年、増えてきているのが、1980年代生まれ世代がオーナーの小さな独立系書店。そこには、コーヒーやビールを飲める店、詩集だけを集めた店など、さまざまなテーマやコンセプトがあって、本をベースに+αの楽しみがある。
もちろん日本にも、下北沢の「本屋B&B」や京都の「恵文社一乗寺店」みたいな個性的で楽しい本屋はあるのだけれど、韓国の独立系書店との違いは、できるまでのスピード感だと思う。韓国では、本屋に限らず、新しい店ができるスピードがとても速いのだ(そのぶん、なくなるのも速かったりもするのだが……)。
自分の好きなもの、いいと思ったものを店として出すという文化のようなものが日本よりも浸透しているから、若い世代であっても出店のハードルが日本よりも低いのだろう。
本書のタイトルでもあるテーマは「本の未来を探す旅」。
「好きなことを仕事にする」時代が訪れるだろうこれからの日本。日本にどんな本屋が増えていくのか、ソウルの本屋ブームから日本の本屋の未来を考えてみるのもワクワクするけれど、でもまずは本書をガイドにソウルの本屋を巡ってみてほしいなぁと思う。
執筆:K
更新:11月22日 00:05