2017年11月13日 公開
2023年03月23日 更新
続いては大手メーカーで20年働いていた40代前半のBさんのケースです。彼は同じ業界の技術部門からの依頼により移籍のターゲットとなり、私から話を聞きに会いに行きました。駅前のホテルのラウンジで約1時間、現職の詳しい仕事内容や転職に対する意識を確かめながら、家族構成も詳細にヒアリングしました。
その会話の中で私は、Bさんの奥様の影響力の強さに気がつきました。この先内定まで事が運んでも、年収が下がることが原因で嫁ブロックに遭う可能性が高そうだと思い、Bさんに「まず奥様に転職を検討したいと相談されたほうがいいですよ」と促しました。
その後Bさんは「やはり妻と話し合った結果、現職で引き続きがんばることにしました」と話してくれました。転職を断念され残念でしたが、話がさらに進んだあとでのブロックではなくてよかったのかもしれません。
このように私たちヘッドハンターは転職候補者と話すとき、現在の仕事だけでなく家庭内の状況も聞き出し、家族にも納得してもらえるよう依頼企業の魅力をお伝えしています。
もともと有名大手商社に勤めていた40代前半のCさんは、事業の将来性に期待し100人以下のメーカーへの転職を決めました。しかし内定が出たあと妻に相談したところ、あえなく嫁ブロックが発動。Cさんは夫婦間で話し合いを重ねましたが埒があかず、ヘッドハンターに状況を説明しました。
奥様が反対する要因は、会社の規模が小さくなるというところに不安を感じていたことにありました。それを聞いたヘッドハンターはすぐ、移籍予定の会社の社長とCさん、そして奥様を交えた会食をセッティングしました。
その場で奥様は社長の人柄の良さを感じ、会社への理解も格段に深まっただけでなく、小規模の会社に移ることへの不安も払しょくされました。「すごくいい社長ね。いい会社なんじゃない?」と無事に嫁ブロックを乗り越え、転職にいたりました。
ヘッドハンターは移籍の際の面接に対するアドバイスや立ち合いだけでなく、このように転職者の家族と新しい上司や社長を引き合わせて、スムーズに転職の話を進められるように働きかけることもあります。
更新:11月22日 00:05