2017年10月10日 公開
2023年01月12日 更新
こうしたシンプル化を進める一方で、あえて増やした資料もある。それは、「業務の見える化」を図るために作成された共有マニュアル。資料やノウハウの個人所有により属人化されていた業務を全社員で共有できるようにしたのだ。
「手元に書類を保存する社員が多いのは問題だ、と常々感じていました。机に山積みにしたり、足元に段ボール箱を置いて溜め込んだりしている書類はすべて、本人にしかわからない情報です。異動があれば、新しいスタッフは使い道がわからず、放置もしくは破棄するしかない。結果、前任者の知識と経験はすべてムダになります」
こうして進められたのが、「すべての業務の進め方を記した統一的資料」の作成だった。
「その資料は2種類あります。1つは本社で使う業務基準書。そして、もう1つは店舗で使用する『MUJIGRAM(ムジグラム)』です」
業務基準書には、大中小の項目で体系づけられたすべての業務が記されている。
「たとえば経理部の場合、目次に『決算(大項目)』→『団体決算整理(中項目)』→『給与仮払い(小項目)』と分類が記され、小項目のページを開けば仮払いに必要な作業が、パソコン操作の手順に至るまで細かに説明されています。
これらを各部で1冊、そして主管の『業務標準化委員会』で1冊ずつ保管。それ以外、個人単位で所有することは一切ありません。ちなみに、業務基準書はデジタルでなく紙が鉄則。いちいちパソコンを開くよりも冊子を見たほうが早いですから」
MUJIGRAMも、紙にプリントアウトされた分厚い冊子だ。「売り場作り」「商品管理」などテーマごとに作られた10数冊が、国内430店舗のすべてに配布される。
「新入社員は、これを読み込むのが最初の仕事。統一された仕事のやり方をいったん覚えてしまえば、どこに行っても同じやり方ですから、滞りなく業務を進められます。まさに『実行』ができるシステムです」
更新:11月25日 00:05