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社会人なら知らないと損する「お金の常識」とは?【後編】

2017年10月04日 公開
2023年03月23日 更新

大江英樹(経済コラムニスト/オフィス・リベルタス代表)

3.老後資金が保全される

 60歳までは絶対に下ろせないというのがこのiDeCoの特徴です。これをデメリットだという人もいますが、私は逆にこれが最大のメリットだと思います。前述したように人間は遠い老後に備えてお金を積み立てていくというのが本来は苦手です。だとすれば普通に使う予定のお金であればデメリットかもしれませんが、iDeCoのように老後の生活資金ということがはっきりしている積立制度にとっては、「下ろせない」ということはメリットのはずです。結果的に老後資金が保全されることになるからです。

 このようにiDeCoには数々のメリットがあるのですが、もともとは、一部の人しか利用できませんでした。自営業者やフリーランス、非正規雇用の方々、そして企業年金がない、主に中小企業に勤めるサラリーマンの人たちです。つまり年金があまり手厚くない人たちが利用できるような制度になっていたのです。

 ところが2017年1月からは一部の例外はあるものの原則として誰でも利用できるようになりました。これは、老後の備えに対して、程度の差こそあれ、誰もがきちんと自助努力で備えることを考えるべきだという国からのメッセージだと私は思います。もちろんこれまでも老後の生活についての危機感や高い意識から、自分で積み立てをしてきた人は多いと思います。でもこのiDeCoは、老後資産形成にはどの方法よりも最も適したやり方であることは間違いありません。特に若い人はなるべく早く、そして少額でもいいから始めることが大切だと思います。

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著者紹介

大江英樹(おおえ・ひでき)

経済コラムニスト

1952年、大阪府生まれ。大手証券会社で個人資産運用業務、企業年金制度のコンサルティングに従事。定年後の2012年にオフィス・リベルタス設立。現在、年間140を超える講演、月12本の連載を抱え、多忙な日々を過ごす。著書に『定年男子 定年女子』(日経BP社・共著)など多数。

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