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“築地銀だこ”社長の新たなる挑戦 「私が石巻に本社を移す理由」

2012年03月08日 公開
2023年05月16日 更新

佐瀬守男(株式会社ホットランド代表)

 

東北沿岸に眠っている高い加工技術を活かす

ホットランドは、設立した会社「ホット横丁」を吸収したうえで、11月をめどに本社を移転する。商店街「ホット横丁石巻」の隣に新本社を置く。業態開発や人材育成などの機能をもたせて、地元から約100人を新たに採用するという。

また、タコの加工場も石巻市に新設する。現在、タコの一次加工は中国で行なわれている(年間2000t)が、将来的にはその3分の1を移す計画だ。

年内の立地場所選定をめざしており、石巻市との協議を進めている。
「被災者のなかには、長年にわたり水産加工に携わっていた人が多い。その達人のワザを活かしてもらいたい」(佐瀬社長)

新設の加工場における新規採用数は、いまのところ、決まっていないという。

 

石巻本社移転を機に"東北の会社"になる

佐瀬社長は、石巻の人たちの「声」を聞き、地元や東京の従業員と「夢」を語るようにしている。「希望がなければ、我慢はできない」と思っているからだ。「その『夢』をかたちにするのが経営者の使命だと思う」と話す。

「本社移転は『第二の創業』といえる」。その思いを胸に、佐瀬社長は「東北の会社になるので、東北に出店していきたい」と意気込む。すでにいくつかの被災自治体から石巻と同様の出店オファーを受けているという。震災に見舞われた「築地銀だこ」の既存店舗の復旧も急ぐ考えだ。

ただ、もちろん、全国展開も視野に入れている。新業態のホットドッグ店「Rock'N Roll's」は来年中に国内百店舗を構える計画だ。現在の本社所在地(群馬県桐生市)には工場や物流機能を残し、効率的に経営を進める。

佐瀬社長はいう。「震災を機に自分のなかで『創業時の原点に立ち返って、もう一度やってやろう』というモチベーションが高まった。それは従業員も同じ。全社員が『へこたれてはいられない』と思っています」

東北に新たな復興の火が灯った。

 

【PROFILE】佐瀬守男(株式会社ホットランド代表取締役)

1962年、群馬県桐生市生まれ。東京YMCA 国際ホテル専門学校卒業。焼きそばとおむすびの専門店「ホットランド」を創業し、1997年からたこ焼専門店「築地銀だこ」を全国に出店。海外進出も果たす。近年、たこ焼とお酒が楽しめる立ち飲みスタイルの「築地銀だこハイボール酒場」や、若者向けに手頃な価格で斬新なメニューを取り揃えた「THE GINDACO」も展開。2003年、第14回ニュービジネス大賞アントレプレナー大賞部門優秀賞

 

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