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不安を煽る「老後破産」のウソ

2017年08月08日 公開
2023年03月24日 更新

大江英樹(経済コラムニスト/オフィス・リベルタス代表)

幸せな老後のために40代からすべきこと

「+αの収入」を捻出するために、40代からできることは他にもあります。

 まず、「保険の見直し」で家計のムダをなくすこと。火災保険と自動車保険は必須ですが、過剰な医療保険は必要ありません。なぜなら日本には優れた「健康保険制度」があり、医療費がかさんでも高額療養費制度でほとんど戻ってくるからです。私は40歳になったとき、医療保険と生命保険をすべて解約しました。

 それから老後に好きな仕事をするために、「社外人脈を広げる」こと。極論すれば、50歳以降は会社の人とは一切つき合わない。この歳になったら社内のポジション争いはすでに勝負ありです。社内での野心はそろそろ成仏させて、一個人としての働き方を見据えて動くべきです。

 そして最後に「人のためにお金や労力を使うこと」。人に役立つことを積極的にすることで生まれた信頼が、退職後の仕事を切り開くチャンスとなるのです。

 60代以降は「年金」という心強いバックグラウンドができることで、より気軽に働くことができます。いわば「ワーカー」から「プレイヤー」になれるのです。こんな黄金期にさっさと隠居してしまうのはあまりにもったいない。まずは老後の収支を明らかにして将来の心配を一掃し、60代以降の豊かな働き方のために今から動き出しましょう。

 

『THE21』2017年9月号より

 

取材構成 麻生泰子

著者紹介

大江英樹(おおえ・ひでき)

経済コラムニスト

1952年、大阪府生まれ。大手証券会社で個人資産運用業務、企業年金制度のコンサルティングに従事。定年後の2012年にオフィス・リベルタス設立。現在、年間140を超える講演、月12本の連載を抱え、多忙な日々を過ごす。著書に『定年男子 定年女子』(日経BP社・共著)など多数。

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