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不安を煽る「老後破産」のウソ

2017年08月08日 公開
2023年03月24日 更新

大江英樹(経済コラムニスト/オフィス・リベルタス代表)

「+αの収入」で余裕の老後

 とはいえ、ここまでの話は、あくまで「生活費」の話です。

 年金はいわば国から支給される弁当のようなもの。好きなものを食べたり、酒も嗜たしなみたいと思ったら、自分で用意しなければなりません。

 そのためには「70歳」を自分の定年と見定めて、60歳以後も働いて収入を得る環境作りを今から始めることです。その方法の一つとして、私は「定年起業」を提唱しています。起業といっても、大きな事業を成せ、と言うわけではありません。月3万円でも5万円でも、好きなことで収入を得る仕事を作るだけ。本業で生計を立てなければならないプレッシャーがないため、心にゆとりが生まれ、楽しく働くことができます。社会とのつながりもできるので、定年後に孤立するリスクも減らせるでしょう。

 ちなみに、年金受給開始を遅くすれば、トータルでもらえる金額が大きくなるので、健康なうちは、できるだけ年金に頼らず働きましょう。

 そんな年齢まで働けない、と思われる方もいるでしょう。ですが、公的年金制度ができた1961年、男性の平均寿命は約66歳で、定年退職は55歳でした。『サザエさん』に登場する波平さんが何歳かご存じですか。実は54歳、定年1年前という設定なのです。それに比べ、今の54歳は芸能人でいえば、唐沢寿明さんや藤井フミヤさんです。現代の男性の平均寿命は約81歳、現役で働ける年齢はどんどん伸びているのです。

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著者紹介

大江英樹(おおえ・ひでき)

経済コラムニスト

1952年、大阪府生まれ。大手証券会社で個人資産運用業務、企業年金制度のコンサルティングに従事。定年後の2012年にオフィス・リベルタス設立。現在、年間140を超える講演、月12本の連載を抱え、多忙な日々を過ごす。著書に『定年男子 定年女子』(日経BP社・共著)など多数。

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