2017年05月31日 公開
2023年04月06日 更新
スイッチングは、悪い習慣から意識をそらせる対処療法ですが、原因であるストレスを減らしていく根本療法も重要です。ストレスが減ることで悪い習慣への欲求そのものが減退して、より生産的な時間の使い方ができるようになります。ストレスが溜まる最大の原因は多くの場合、心や時間に余裕がなく、自分が“振り回されている”と感じることにあります。ですから、ストレスを溜めない生活を送るには、まず「時間的余裕」を作ることが肝要なのです。
とはいえ、中間管理職が多いであろう40代は、日中は部下への指示や取引先への対応に追われ、自分の仕事に集中する時間がなかなか取れないかもしれません。
そこで解決策としてお勧めなのは、1時間早く起きる「朝型シフト」で自分の時間を作ること。さらに、その日の予定を重要タスクからどんどん埋めていく「予定の先取り」をしてしまうことです。限られた24時間の中で、重要なタスクを確実に実行するためには、そのタスクを1日のスケジュールの中に先に組み込むことです。とくに朝は、メールチェックなど、15分ほどですむタスクを4つくらい行なうといいでしょう。こういった小さなタスクを行なう時間をスケジュールに組み込んでいくのです。
このように自分が決めたタスクを実行している状態から1日がスタートすると、達成感・片づいた感が生まれ、自分が時間の主導権を握っている感覚が得られるので、忙しくてもストレスが溜まりづらくなります。1日の先手必勝法である「朝型シフト」「予定の先取り」こそ、ストレスによる逃避行動である悪い習慣を根っこから断ち切る解決法です。
ただし、人間の脳は生存本能から、変化を嫌い、現状を維持しようとする傾向があります。スイッチングや朝型シフトなどの行動の変更も、最初は馴染まなかったり、やりにくいと感じると思います。しかし、「テストドライブ期間」と割り切って、まずは1週間続けてみましょう。すると、脳や身体が新しい習慣のほうが快適で効率的なことに気づくので、続けられるモチベーションが自然とわいてきます。
このようにして悪い習慣を駆逐したら、私が提案したいのは、「1日90分の自分の時間を確保する」ことです。その時間に、自分の好きなこと、興味があること、あるいは未来の自己投資につながる勉強などの時間を持つことを習慣化する。それが心と時間の余裕を生み、未来に向けて人生の上昇気流に乗れる最善の方法なのです。
≪取材・構成:麻生泰子≫
≪『THE21』2017年5月号より≫
更新:11月25日 00:05