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「やめられない」悪習慣を断ち切るコツとは?

2017年05月31日 公開
2023年04月06日 更新

古川武士(習慣化コンサルタント)

 

悪い習慣を断ち切る「スイッチング」の効力

 夜更かし、スマホ、食べすぎ、飲みすぎ、残業グセなど、“わかっちゃいるけどやめられない”悪い習慣の数々。「よし! やめよう」と決意した経験が一度や二度はあるという人は多いかと思います。しかし、しばらくすると元どおりに。なぜ、自分の意志でやめられないのでしょうか。

 それは、そもそもの原因が解消されていないからです。実は悪い習慣を生み出している根本原因の多くは「ストレス」です。嫌な上司の存在、営業ノルマのプレッシャー、商談での緊張、プライベートでの人間関係の悩みなど、私たちは日々さまざまなストレスにさらされています。そんなとき、刺激があって快楽が得られる悪い習慣は、心をストレス原因から切り離し、一時的に忘れさせてくれます。

 ですから、人はストレスが溜まっているときほど、短時間で高い刺激を得られるものに走ります。お酒やギャンブルは最たるもの。“今”という一点に強烈に集中することで、重圧や憂鬱が心から消え去り、過去も未来も忘れさせてくれる快感があるのです。

 その意味では、悪い習慣にも一定の効用があります。心の緊急事態を回避させ、ストレスの中和剤になっているのです。そう考えれば、お酒やタバコを嗜たしなんだり、スマホでニュースやゲームを楽しむことは必ずしも「悪い習慣」とは言い切れません。

 良い習慣と悪い習慣の分かれ目となるのは、終わった後の心理状態です。「スッキリした! 有意義な時間を過ごせた」と思えるなら、それなりに意味のある習慣だと思います。一方、「またやってしまった」と自己嫌悪に陥るならば悪い習慣。過剰に没頭しすぎて、悪影響のほうが大きくなってしまっています。

 ストレスからくる悪い習慣をやめるには、気持ちだけでコントロールしようとしてもどうにもなりません。ストレスが行き場を失い、かえって欲望の暴走を引き起こしてしまうことすらあります。悪い習慣に手を伸ばしたくなったときの対処法として必要なのは、自分の意志より行動の変更です。

 結局のところ、脳が悪い習慣に求めているのは、刺激や快感です。ですから、別の刺激や快感を与える代替行動を行なう「スイッチング」をすることで、ストレス解消の欲求が満たされるのです。

 私の例でお話ししましょう。私はコーラが大好きで、気分がダルいときややる気が起きないときにたびたび飲んでリフレッシュしていました。それでひとまず仕事に向かえるのはいいのですが、ストレスを感じるたびに毎回毎回飲み続ければ、いつか健康上の問題が出てきてしまうかもしれません。そこでコーラの代わりに、レモン味の強炭酸水を飲むことにしたのです。

 その行動の変更でわかったのは炭酸とレモンの刺激があれば、必ずしもコーラである必要はなかったということです。これはついビールを飲みすぎてしまう人やご飯を食べすぎてしまう人にも応用できるスイッチングの例です。

 スイッチングのポイントは、“今”に集中できる行為であること。人間は没頭する対象ができれば、意識が切り替わり、ストレスから自分を切り離すことができるのです。いくつかの行動を試してみて、意識を集中させてくれる代替行動を見つけてください。自分が好きなスイッチング行動が見つかれば、悪い習慣の負のスパイラルを断ち切っていくことができるはずです。

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著者紹介

古川武士(ふるかわ・たけし)

習慣化コンサルタント

関西大学卒業後、日立製作所などを経て2006年に独立。数多くのビジネスパーソン育成・コンサルティングの経験を経て、日本で唯一の「習慣化」をテーマにしたコンサルティング会社を設立。独自の理論をもとに、個人・企業に向けて習慣化講座や行動定着支援を行なう。『力の抜きどころ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)ほか著書多数。

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