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外資系秘書の「どんなムチャ振りにも『NO』と言わない」仕事術

2017年05月22日 公開

フラナガン裕美子(国際コミュニケーション・コンサルタント)

普通はできないこともできてこそプロの秘書

 多くの外資系企業で活躍し、「伝説の秘書」と呼ばれるフラナガン氏。秘書というと、スケジュールを管理する程度の簡単な仕事だと思う人もいるだろうが、外資系企業では事情が違う。上司のムチャ振りに応えてきたフラナガン氏の仕事の習慣とは?

 

「満席でも飛行機を取れ」と言われたら、どうする?

 秘書にとって最も基本的で重要な習慣は、上司にどんな「ムチャ振り」をされても「できません」と言わないことだとフラナガン氏は話す。

「日本企業の多くの秘書は、上司から言われたことをこなす一方通行のサポートが多いイメージでしょう。でも、外資系企業の秘書は、上司が業務に専念できるよう、右腕となって尽くすのが仕事です。ですから、秘書に『できない』という選択肢はないのです」

 とはいえ、実際のところ、できないこともあるはずだ。そう聞くと、「考えさえすれば、何かしらの方法が見つかるものだ」とフラナガン氏。

「たとえば、上司に飛行機のチケットの予約を頼まれたのに、その便がすでに満席になっていたことがありました。そこで『満席でチケットを取れませんでした』と報告するわけにはいきません。『それは俺の問題か? 君の問題だろう。君がどうにかするんだ』と言われるに決まっているからです。

 そこで私がしたのは、まず、その航空会社に連絡を取ること。実は、どの便にも必ず要人用に確保している席があるので、それをなんとか譲ってもらえないかと交渉したのです。

 同時進行で、別の航空会社にも連絡をしました。そのときには、『ビジネスクラスの席を、無料でファーストクラスにアップグレードしてほしい』と頼みました。上司が指定した便を予約できなくても、無料でファーストクラスにアップグレードしておけば、上司も納得するだろうと考えたからです」

 このままでは、今度は航空会社に対してムチャ振りをすることになってしまう。とても受け入れてはもらえないだろう。そうならないよう、フラナガン氏は交渉の際、常に「Win-Win」になる提案をしている。

「その代わり、以後、上司が出張をする際には2回以上はその航空会社を利用することと、社内でその航空会社の利用を勧めることを約束しました。それで航空会社に納得してもらい、席を確保することができたのです」

 こんなムチャ振りは、外資系企業の秘書にとって日常茶飯事だという。

「上司の奥様が来日して、道に迷ったこともありました。そのときは、本人に連絡の取りようがなかったので、立ち寄りそうなお店に片っ端から電話をかけて、『似た人が来たら連絡をほしい』と頼みました。

 とても重要な会議に『出たくない』と駄々をこねはじめた上司もいましたね。言い出すと理屈は通りません。『会議の前に休憩を設けますから、ご自由にお好きなところでリフレッシュしてきてください』とか『会議では一番に発言させてもらい、次のアポがあることにして、すぐに退室させてもらうようにしましょう』などと、あの手この手を尽くして出席してもらいました」

 

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著者紹介

フラナガン裕美子(フラナガン・ゆみこ)

国際コミュニケーション・コンサルタント

1967年生まれ。津田塾大学卒業。スイス・ユニオン銀行を経て、バンカース・トラスト銀行から秘書のキャリアをスタート。以降、ドイツ証券、メリルリンチ証券、リーマン・ブラザーズ証券など、5つの外資系企業と日系企業で、日本人、米国人、英国人、アイルランド人、スイス人、豪州人、香港人、韓国人という8カ国のエグゼクティブをサポート。著書に『伝説の秘書が教える「NO」と言わない仕事術』(幻冬舎)など。

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