2017年05月11日 公開
2023年04月06日 更新
こうして自分の業務を効率化すれば、チームのマネジメントに回す時間ができます。その際も、「部署全体の時短」を図るための習慣を作ることが大切です。
今どきの中間管理職は、自らの業務を担当しつつ、チームマネジメントも行なう「プレイングマネジャー」が多数を占めています。いちプレイヤーならば自分の業務のことだけを考えれば十分ですが、プレイングマネジャーは部下育成やチームビルディングにも時間を割かなくてはなりません。自分の業務とチームの仕事、双方にきちんと手をかけられてこそ「できる人」と言えるのです。
部下からの報告や相談で業務が細切れになりがちな場合は、定期的に「報連相タイム」を設けましょう。アポも会議も入れず情報共有に徹する時間を持つことで、進捗状況を俯瞰的に見られますし、一人のメンバーがひそかに業務を抱え込む「タコツボ化」も防げます。
各人の業務のムラをなくすには「持ち回り制」が有効。たとえば、電話を取る役目を一時間ごとの交替制にすれば、一人は電話に、他のメンバーは仕事に集中できて合理的です。
逆に、「集中タイム」を交替制にするのも良い方法です。電話も取り次がず、相談ごとも持ち掛けない時間を一人一時間ずつ持たせることで、各人の「細切れ」を予防できます。
管理職の仕事には、「自分がGOを出さないと進まない場面」が多々あるものです。そこは優先順位を上げて素早く判断・指示しましょう。それがチーム全体のスピーディな業務遂行へとつながります。
この「判断」は、管理職の重要な仕事です。ここで迷いやブレのない迅速な対応をするためには、自らの判断基準をきちんと持っておくことが必要です。
判断基準には、「正解」があるわけではありません。新規顧客と長年のロイヤルカスタマーから「今すぐ対応してほしい」と同時に言われたときどちらを優先するか、「ウチの会社だけ異例対応を認めてほしい」と顧客が要望したらどうするのか、などはその典型ですが、答えは会社の方針や業務内容によって違ってくるでしょう。
リーダーはその背景を理解した上で、組織としての価値観、つまり仕事に携わる上での「これははずさない」という基準を明確に持つべきです。そして、それに基づく判断基準をチームに周知させることも忘れてはいけません。「うちのチームはこれを第一に考える」という指針があれば、メンバーが優先順位に迷って業務を停滞させる事態を防げます。
思いつきで進めるのではなく、確固たる軸や信念を持って臨むことは、仕事の精度アップ、成果物のクオリティ向上にもつながる、最重要の基盤なのです。
《『THE21』2017年5月号より》
更新:11月29日 00:05