2017年05月11日 公開
2023年04月06日 更新
日々の仕事を進めるうえで大事なのが、段取りや優先順位のつけ方など「時間」に関する習慣だ。自分の仕事をスムーズに進めるだけでなく、チームの生産性を上げることも求められる。業務効率化のプロである藤井美保代氏にアドバイスをいただいた。《取材・構成=林加愛》
仕事が速い人と遅い人の差は、ちょっとした習慣に表われます。では、できる人はどういった習慣を持っているのでしょうか。
第一に、「やらないことを決めている」のが大きな特徴です。人に任せても良い仕事を自ら抱え込んだり、重要性・必然性のない仕事を慣例だからと漫然と続けたりするのはやめましょう。
「やらなくていいこと」は、日々の業務のあらゆるところに潜んでいます。たとえば、慣例として続けている定例会議は必要なのかどうか、またそうした社内会議のための資料を人数分用意することが必要なのかどうか。そうした点に常時目を光らせて、ムダを見つけたら「なくす→へらす→かえる」の優先順位で、絶えず効率化を繰り返す「カイゼン」の視点が不可欠です。
第二に重要なのは、生産性が上がるタイミングを押さえることです。たとえば一日の間では、午前中に効率が上がる、と言われています。企画書づくりや資料分析等の「ナレッジワーク」は午前中に充て、午後はルーティンワークに充てる、といった工夫をすると、進みが格段に速くなります。
一方、朝一番に何をするかという点も重要です。スタートダッシュとして滑り出しを良くすることも必要ですから、いきなりハードルが高い仕事をするのも考え物。素早くできることや得意なことを最初に行なって勢いをつけてから、ナレッジワークに移ると良いでしょう。
その後の業務を進める際にもコツがあります。できる人のキーワードは「同質化」。複数のタスクを同時並行的に進めるより、一つひとつの仕事に集中するほうが生産性は上がります。
そこでお勧めしたいのが、メールを見る回数を限定すること。返信に追われたり、その都度発生する用事に対応したりしていると、業務が細切れになり、集中力も途切れます。いったん途切れた集中力は、取り戻すのに15~20分かかると言われます。メールチェックは「朝・午後1時・夕方」など、1日3回程度に決めておくと良いでしょう。
できる人は、休憩も大事にしています。集中すべきときは集中、力を抜くべきときに抜く、といったメリハリをつけているのです。休む間も惜しんで、デスクで昼食を摂りながら作業を続ける人がよくいますが、これでは午後の余力を失ってしまいます。
上手な休憩の秘訣は、「脱マンネリ」。席を立って洗面所に行くなら、ときには別のフロアに行ってみる。ランチに行くなら毎日同じ人とではなく、別の部署の誰かを誘ってみる。このように場所や人を変えると、脳が触発されます。
スキマ時間を上手に使えるか否かも、差がつくポイントです。ここで役に立つのは、スキマ時間専用のタスクを用意する習慣です。「5分かかる仕事」「10分かかる仕事」「15分かかる仕事」と3種類ほど用意して付箋に書き、目につくところに貼っておけば、「電話の折り返し待ち」などの突然のスキマ時間もムダにせずに済みます。
加えて、普段からクセにしておきたいのがデスクの整頓。書類にせよ文房具にせよ、使いたいものは「6秒以内」に出せるようにしておくのが鉄則です。動線を考えて、デスクの上に適切に道具を配置し、引き出しの中にしまうものも定位置を決めましょう。
パソコンのデスクトップの整理整頓も、デスクと同じです。画面上に仮置きしたフォルダがいくつも出ている状態は望ましくありません。フォルダは「進行中」と「保存」の二つなどに留め、一括管理するのが理想です。
更新:11月25日 00:05