2017年06月08日 公開
2023年04月06日 更新
次に、本の読み方についてです。まず、先に述べた「読み始めたら全部読まねばならない」という思い込みは、大きな間違いです。
そもそも、本は何のために読むのでしょうか。買って手元に置いておくためではありませんね。知識・教養として、情報を役立たせるためです。そう思えば、「全部」を読むことにこだわる必要はありません。とくにビジネス書などは、ダラダラと読むよりはメリハリをつけて、どこが大切か、要点を探しながら読むべきです。
要点はあとで見てもわかるように、マーカーを引いたり、ページを折ったりしておくと良いでしょう。私の場合は、以前は線を引きながら本を読んでいました。しかし、のちに読み返したとき、その当時大事だと思っていた箇所と、今重要だと思う部分が違うことが結構あることに気づいたのです。そのたびに線を引き直しているとラインだらけになってしまうので、今は読み返したい箇所のページの端を折ることにしています。
ここまでに述べたことは、読書の習慣を身につけるための入門編。しかし、この記事を読むような方の多くは、すでに読書の習慣をお持ちかと思います。そういった方には、ワンランク上の読書体験をしていただきたいです。それは、本の選び方、読み方の次にある「活かし方」とも言うべきことです。
よく言われることですが、読んだ本の内容を身につけるには、アウトプットする習慣を持つことです。読んだら人に話す。人と話す機会の多い営業職ですと、読んだ本の知識を披露する機会も多いでしょう。
また、SNSを利用するのもアウトプットになります。ひと言「この本は面白かった」とつぶやくだけでもいいのです。中身まで書き込もうとすると、面倒で続かないと思います。また読書会にてほかの人に本の良さを伝えることもできます。読書会もリアルでなくてもかまいません。私が少し前まで行なっていたのはSNSを利用した読書会です。数人で『論語』を読んで、今日の出来事を『論語』の内容を重ね合わせて紹介するというものです。
もう一つ、上級の読書法が「積ん読」です。もちろん、積んだまま読まないということではなく、「積みながら読んで吟味する」ということ。私の場合、横積みに本が積めるブックタワーを活用し、ここに新しい本を一時的に置いたりします。私の自宅の本棚は小さいので、あまり多くを置けないのですが、本棚に収める「一軍入り」する本かどうかを「積ん読」で見極めるのです。
私の本棚は、早いと1週間、約ひと月に1回は内容が入れ替わります。ただ、そんな中でも、絶対に二軍落ちしない本もあります。たとえば、『働く理由 99の名言に学ぶシゴト論。』(戸田智弘著/ディスカヴァー・トゥエンティワン)という本はずっと一軍の本です。これは、古今東西の有名人の仕事観を集めた名言集ですが、起業したときや壁にぶつかったときなど、何度も助けられました。
良い本は何度も読むことで自分の血肉となると思います。そんな本に出合うためにも、まずは読書習慣を身につけましょう。
《『THE21』2017年5月号より》
更新:11月22日 00:05