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「仕事力が高まる読書」簡単な本からのステップアップ

2012年09月04日 公開
2022年12月26日 更新

庵原リサ(日本サブウェイ〔株〕取締役)

庵原リサ氏

サントリー〔株〕(現・サントリーホールディングス〔株〕)における初の女性営業職として活躍し、2010年からは同社系列の日本サブウェイ取締役に就任した庵原リサ氏。

順調なステップアップを果たしてきたかにみえるが、その過程では壁にぶつかり、悩んだことも多々あったと語る。

そんななか、読書は助けになったという。その経験を振り返りつつ、ビジネスマンに必要な本との出合いと、その方法について語ってもらった。<取材・構成:林 加愛/写真:まるやゆういち>

※本稿は、『THE21』2012年9月号[総力特集]より内容を一部抜粋・編集したものです。

 

大きな壁にぶつかってビジネス書を読み始めた

いわゆる「名著」とされるビジネス書と、直近の「話題の本」のなかで、役立つ本を読む。それが私の選択基準です。以前は実用書中心、現在の立場になってからは経営論やリーダーシップ論中心と、内容の傾向は変わりましたが、そのスタイルはずっと同じです。

とはいえ、その習慣ができたのはここ10年ほどのこと。それまで、読書はもっぱら楽しむためのものでした。仕事に生かすための読書をしようと意識しはじめたのは30歳をすぎてからです。

きっかけはおそらく、「壁に突き当たった経験」によるものでしょう。30代前半のころ、私は「女性がキャリアを築く難しさ」に悩んでいました。会社初の女性営業職として働きつつも、営業という仕事はやはり男性が有利な部分もありました。この先どこまで活躍できるか、キャリアアップに向けて頑張るべきか否か、迷いも覚えていました。

そんなとき読んだのが、『私はこうして受付からCEOになった』です。著者はヒューレット・パッカードの元CEO。そこで語られる男性社会のシビアな現実は、自分と重なり合う部分が多くありました。

とくに、「悩んだら、目の前の仕事を一生懸命やろう。それを続けると将来が開ける」というメッセージには励まされたのを覚えています。性別にこだわらずに仕事に打ち込もう、と気持ちが吹っ切れました。キャリアアップをめざす女性に、ぜひお勧めしたい良書です。

こうして壁を乗り越えたものの、30代後半、また別の問題が出てきました。希望していた法人営業の部署に移り、そこで自分の知識不足を思い知ったのです。顧客の経営者が語る、会計や財務の話が分からない。事業戦略もニーズも理解できない...。

このままではいけないと思い、多くの本を読み漁りました。そこで役立ったうちの1冊が、『ざっくり分かるファイナンス』という本でした。

これは、お金の分野に対する苦手意識を消してくれた本です。会計とファイナンスの違いさえよくわかっていなかった私が、この本のおかげで理解することができました。タイトルに違わず、非常にわかりやすく、読みやすい。

このように、簡単な本から始めて段々とステップアップしていくと頭に入るものです。未知の分野をゼロから学びたい方に、お勧めしたい方法です。

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